第48話
しばらく真央と話していると走り終えたらしい里香が帰ってきた。
「お兄ちゃんたち何してるの?」
少しの間息を整えた里香が聞いてきたので真央とサバゲをした事などを話した。興味深そうに話を聞いていたのを見て真央が里香もサバゲに誘うが走り疲れていたので首を横に振った。珍しく真央がやる気になっていたのだが、一度断られ真央も再度誘うことは無かった。
「流石に走ってきたばっかだし、また今度でよかったらその時は一緒にやろうね」
里香と真央のサバゲは次に取っておく事になり落ち着いた三人は部室に戻って私服に着替えた。
「じゃあ今日はこれで、特訓は終わりって事で」
朝から昼を少し過ぎた現在までの時間をかけた特訓はこれで終了となった。
「さてと俺はこれから飯食いに行くが二人はどうする。今日ぐらいは奢ってやるぞ」
「ほんとに?ありがとうお兄ちゃん」
「私はいい。やりたいこともあるから」
「そうか。じゃあ里香と二人で行ってくる」
何やら用があるらしい真央を置いて二人は学校を出た。二人が向かった先は高校の近くにあり浜白の生徒達がよく足を運ぶ店だった。京也たちが利用するのは初めてのことだったがクラスや寮でたまに話題になるぐらいの人気があった。
◇◇◇
「んー、食べた食べた。体動かした後のご飯は美味しいね」
店の外にでて周りに人がいないことを確認して大袈裟に伸びをする里香。
「ああ、それにここは高校のすぐそばにあるだけあってメニューも学生向けのが多かったしな。味付けとかも気をつけてるんだろうな」
食事のお互いに言い合いながら学園に戻ると正門の所で武部とであった。
「あれ、武部くんだ」
里香が予想外の出会いに声をあげるとそれが聞こえたのか武部が振り返りこちらに気付いた。
「冬休みはずっと家に帰ってるんじゃなかったの?」
武部とは冬休みになる前にあっておりその時に休みの間は実家に帰ると聞いていたのだ。そのため、まだ年があけて数日しかたっていない時に会うことは無いと考えていたからだ。
「それが、ちょっと色々ありまして。予定を変えて早めに帰ってきました」
「そっか。それじゃあ慌ただしくて大変だったでしょ」
自分たちに起こった事など無かったかのように何やら重苦しそうに言う武部を気遣うように里香が声をかける。
「まあ、そうですね。本当はゆっくりしたかったんですけど」
武部は苦笑いしながらそう返す。
「過ぎたことに何を言ってもしょうがないんで後は寮で大人しくしてます」
そう言い残し寮へと向かっていった。
「大変だね、どこも」
大変さの度合いが天と地ほどにあるだろうと思ったが特に話の腰を折ることもせず京也は話を進めた。
「ああ、そうだな」
「多分これからも、もっと色んなことが起きるんだろうね」
これからの加耶にふりかかるであろう災いの事を考えてしまうとどうしても憂鬱な気分になってしまう。
「そのために俺たちが呼ばれてるんだ。俺たちの力で護ればいいだけの話だ」
「・・・うん」
その後は特にやることも無くなりそれじゃあと二人分かれ、京也は男子寮へとかえっていった。
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