第46話
京也が綾に教えようとしていたことは近接格闘術だった。
神社の時から感じていたのが綾は近接格闘を含めた戦い方を意図してか無意識下なのかあまりやらないという事だ。綾がサバゲをやっていくうちに体に染み付いてしまっていたのだ。その癖を無くすために京也は教え込もうと考えていた。
「綾、お前にまず身につけてもらいたいのが近接格闘術だ」
「ああ、やっぱりな」
自覚はあったらしく苦笑いする綾。
「出来てないってわけじゃ無いんだけどな。ちょっと気になったんだよ。近距離においては銃を撃つよりも早く対処出来る時があるからな」
それに自身が近接格闘術の事を熟知していれば敵の攻撃を防いだり持っている武器を奪い取ったりすることも可能になる。力任せでとろうとしても逆に自分が怪我をしてしまう原因になってしまう場合もある。だが、やり方を知っているだけで簡単に敵から武器を取り上げることができるのだ。
「頼む、教えてくれ」
このままでは自分の力不足のせいで足を引っ張りかねないと思っている綾はその技術を早く習得したがっていた。
「まあ、そんなに慌てんな。ちゃんと教えるから」
京也はそれを諌めつつ綾にまず基本となるものを教えていった。
◇◇◇
「改めて教える事になったけど、どうしよう」
一方の真央と紗奈のペアは何を教えようかと考えていた。
紗奈の場合はなんでも器用にこなせる事が多く、基本を教えるよりも実戦経験を積んで体に覚えさせるのが一番の上達方法だと真央は思っている。それ故に今どうしようかと考えていた。
「それなら、スイッチのやり方を教えて欲しいな」
ここで言うスイッチとはスイッチングの事で右側に構えている銃を左側で構える、などの構えている銃を逆側に構え直す事を言う。
紗奈もその事は知っておりスイッチすること自体は難しく無いためできるのだが、不得手としており今回はそれを克服したいと考えての事だった。
実際に部室に置いてあった愛銃のSCARで実際にやって真央に見てもらう。
「どう?」
真央が紗奈のスイッチの仕方を見ていて気付いたことは手だけを使って構え直しているという事だ。
「紗奈、手だけでやろうとしてるから余分な動作が増えるんだよ。最初にグリップを持ってる方の手を離したらそのまま反対の手で肩にストックを押し付けるんだよ」
紗奈に銃を貸してもらいお手本となるようにゆっくりと丁寧に教える。
「で、その後に手を入れ替える」
「あ、ほんとだ。このやり方だと手間が減ってやり易い」
やり方が分かってしまえば後は繰り返し練習して自分の物にしてしまえばいいだけの事だった。
◇◇◇
「えーと、加耶ちゃんは銃の撃ち方とか分かる?」
「うん、それぐらいなら教えてもらってるよ」
護衛対象である加耶も万が一の時のために自分の身を守れるように最低限の事は教えられていた。そのためハンドガンの扱い方は教えられているのだ。そして護身術も教わっているよと付け足した。
「そっか、それなら教えることはないかな」
加耶は護られる立場のため大した技術はいらないと里香は判断したのだ。それなら体力をつけていざという時に逃げられるようにしようとランニングに誘った。
「うん、分かった」
里香と加耶は京也と真央に断りをいれて着替えに部室へと向かう。サバゲ用の服装で外を出歩くのはマナー違反だからだ。
そして着替えを終えた二人はそのまま外にでて浜白高校の外周を走り出した。
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