第40話

加耶たちがひとまず無事に逃げ切れた事を確認した京也たちは目の前の敵に集中することにした。


「弾どれくらい残ってる?」


 すぐさま襲いかかってくる様子は無かったのでまず自分たちの状態を確認することにした。

 その結果京也と陸が今銃に込められている物も合わせてマガジンがあと二つ、真央と綾が残り一つだと判明した。

 長期戦に持ち込まれると不利になるとふんだ京也は一気に突破してしまおうと考えた。

 ここに来る時に利用した駅まで行けば人目が多いため諦めると考えた。また、本来の目標は加耶なので深追いしてくる理由がないとの判断でもあった。護衛に過ぎない京也たちだけのために作戦を続けても大きな意味はないためである。

 そこで刀を持つ空と行使者である京也が先頭を行きその後を真央や綾にカバーしてもらい後ろから追ってくる敵を陸に任せることにした。

 そうと決めるやいなや京也と空は二人同時に飛び出し、遠くにいる敵には気配で位置だけを捉えつつ近くの敵には視線を向け京也が一発だけ敵の足にブレンを撃ってひるませ、そこに空が追撃したり、攻撃してきた敵をいなし空が刀で峰打ちしたりして無力化していった。

 京也がリロードしているときや複数の敵が同時に襲いかかってきたときは、後ろにいる真央や綾に援護してもらいながら切り抜けていく。

 敵のマナの攻撃もあったが京也が行使者の目を持っているため単調な攻撃になりやすいマナの攻撃は問題なくかわすことができた。

 真央も着慣れていない着物ながらも京也たちに送れずに歩を進めていた。

 なんとか境内の外にでた京也たちは歩みを止めることなく後方確認をするが、追ってくる敵はいなかった。どうやら京也の考え通りのようだ。

 それでもまだ銃やマナの攻撃範囲なのでそのまま走り抜けて行く。

 しばらく走ると境内では見当たらなかった人影も見えるようになり、銃を持っていると目立つため各自しまった。空の刀はその大きさのため目立ってしまうのだが。駅につく頃にはきた時とさほど変わりのない人の多さとなっていた。

 どうやら神社のような人払いはしていないようだ。


「とりあえず逃げ切れたみたい」


 駅に着くと真央がそう言った。どうやら一応の危険は去ったようだ。

 それを聞いて一安心し、警戒心は完全には解かないまでも緩めた。

 ここまで走ってきて乱れた息を整えてから全員でキップを買い電車に乗って加耶たちの後を追うようにこの場を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る