第39話

 お互いの話がひと段落しこの場からどうやって逃げ出すかの話に話題は移って行った。


「車を運転できる、夕夜さんと朝昼さん、後は加耶と浴衣で動きが制限される里香と紗奈と最年少の海が夕夜さんの車で。後は他の方法で逃げるということでいいですかね」


 自分の考えをみんなに話つつ夕夜に確認をとる。


「ああ、そうするしかないだろうな」


 夕夜も同意する。

 加耶は護衛対象の為当然として、里香は狙撃以外は不得手とし真央は着物でも心配なく動けるから、陸と空は自分の武器を持っておりNSGで訓練や実戦をしてきているからだ。

 そして、夕夜の話では車のトランクにM4などの銃が入っているとの事だったので車が襲われた時も問題はなかった。

 撤退方法が確定したので、京也たちと夕夜はお互いが離れていた時にあったことの情報交換をし始めた。

 京也が夕夜から話を聞いて気になったのは、京也たちにもあった事だが初めに襲われた時から人影がなく、これまでも仲間と敵以外の人に合わないということだった。

 いかにアルケミア社といえどこの短時間に神社の人を全員外に誘導できるはずもないのだ。

 マナの使った痕跡を残さない方法があるのかもしれないと京也は考えていた。


「ここに隠れてる事が暴露てない今のうちに行くとしよう」


 夕夜がそう言い京也たちも先頭を行く夕夜の後をついて行った。

 扉を少し開け隙間から外の様子を窺うが人の気配を見つけることはできなかった。

 京也たちは最初に夕夜の車に辿り着くべく来た今まで進んで来た道を戻りはじめた。

 その後も敵と遭遇することはあったが敵は散開しているが為にまとまって行動している京也たちには叶わなかった。

 基本的には京也や真央、綾といった銃を持っている面々が敵を無力化していき残った敵や、曲がり角で鉢合わせた時は空の刀が猛威をふるった。

 そして、心配だったマナの襲撃もなく順調に車へと近づいて行った。

 それでも、敵が常備している無線機で連絡され囲まれる可能性があり油断を許されぬ状況であったがしばらく進み、車が見える位置にまで辿り着き安堵から心を緩めた時地面が茶色に光出す。


「横に飛べっ!」


 それを見た京也は全員に回避するように叫んだ。

 場慣れしているNSGの面々は京也の言葉にすぐ反応しその場から移動するがとっさのことに惚けてしまい動けなかった加耶と初動が遅れてしまった綾、着慣れない浴衣に足を取られてしまった紗奈が足元に突如現れた落とし穴にはまってしまった。

 それを見て残った京也たちは次なる攻撃に備え周囲を警戒する。

 その間に里香がテレビなどで見たことのある網で魚を捕まえる漁をイメージし、落とし穴に落ちた加耶たちをすくい上げる。

 そこへ駐車場近くの林からバシュと音をあげ弾頭が飛んできた。


「RPG!」


 それを見た京也が叫び、その声に反応した空がすかさず弾頭を透過させ爆発することなく地面に潜らせた。

 弾頭が人でなく地面に飛んできたことが幸いだった。


「すまん、助かった」


 空に礼を言い、音のした方向に注意を向ける。

 しかし、RPGが飛んできた方は何の変化もなく、代わりに別の所から複数の敵がやってきた。

 このまま囲まれてしまう危険性があるため京也たちは加耶たちを先に車に乗せて逃がすことにした。

 護衛対処がいない方が気にしなくて良い分楽なのだ。


「でもそれだと京也くんたちが危険なめに」


「大丈夫。お兄ちゃんたちを信じてあげて」


 そう里香に言われ不承不承ながらも加耶は同意することにした。


「みんな、また後でね。ちゃんと無事でいてね」


 加耶はそう言って夕夜たちに連れ立って車へと向かい、夕夜や紗奈とも別れを告げた。

 無論敵もそれを止めようと襲いかかるがその毒牙がかかる前に対処され無力化されていく。

 そして無事に車に逃げおおせることが出来、夕夜の運転でこの場を後にした。

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