第38話
京也は今まで黙っていたことに軽い罪悪感を感じながらNSGの事を話した。里香は説明をする京也の服の端を掴みながら不安な顔で見守っていた。
途中で綾からの質問に答えたりと、一通り話終え少しの間綾と紗奈は呆然としていた。
そして、時間がたち話を徐々に飲み込めてきた綾たちは平静を取り戻してきた。
「そうか、そういう理由だったんだな」
綾が一応は納得した素振りを見せ、そう答えた。
紗奈も問題はないらしくこちらに近寄ってきて里香と話あっていた。
そして少しして、里香と紗奈がわだかまりもなく落ち着いたのを確認した綾が話し始めた。
「それじゃあ、次は俺たちの事も話さないとな」
京也たちの話を聞いて踏ん切りが付いたのか一度加耶を見てから話し始めた。
「まず、アルケミアって会社知ってるか」
「そりゃあな。日本で5本の指に入るぐらいにでかい会社だからな」
綾の質問に当たり前だろと答える京也。
「で、それがどうかしたのか?」
「・・・」
言葉に詰まると言うよりは誰かに気を使っているかのように綾は間を置く。
その綾の沈黙に加耶が割って入ってきた。
「えとね、そこの社長の隠し子なんだ。私」
尻窄みしながらも言いきり、ありがとね綾くんと付け足した。
「え・・・」
衝撃を受けた里香は思わず声をあげていた。
京也も驚いていたが絶句していた為に声はでなかった。
「でも、あそこの社長さんてかなりの愛妻家って話だろ」
それでも、直ぐに立ち直った京也が口をだす。
加耶が話が進まないから気遣いはしないで、と言うので遠慮なく話すことにしたのだ。
「人間誰しも裏表があるって事だ」
今度は加耶の代わりに綾が答えた。
「んで、俺と紗奈の家は代々アルケミア社の要人を護衛してきているんだ」
話がとりあえず落ち着いたとみて京也が疑問尼感じた事を聞く。
「でも、それだけで狙われてる訳じゃないだろ」
それだけならひたすらに隠し通せば良いだけだ。
確かに大スキャンダルだろうが、もしマスコミに暴露ても揉み消すだけの力がアルケミア社にはあった。
「現社長・・・加耶の父親なんだが、その人が正妻との子じゃなく加
耶に後を継がせたいと考えているんだ」
一拍間をあけ綾が続ける。
「加耶の親父さんも頑固な人でな、他の人が止めるのも聞かないんだ。それで襲われたこともあるんだ」
昔を思い出したのか顔を顰めながら言う。
「そのせいで加耶の護衛がいなくなくなってな。新たに俺たちにまで護衛しろと話が来たんだ」
加耶の事情の為大っぴらに護衛を雇えないのだ。
「で、私が二人の指導兼夏海さんの護衛てことでいるわけ」
ここまで来たら隠す必要もない、とのことで真央が自分の任務の内容を明かす。
「最近社長の体調があまり良く無いらしくてそれを、機に本格的に夏海さんが襲われるだろうと言うことで二人が呼ばれたの」
「そういう理由だったのか」
京也と里香はこれで自分たちが加耶の護衛の任務を与えられたかを理解した。
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