第37話
「誰もいないね」
周りを見回して里香がそう言った。
正確には夕夜たちが無力化したと思われる敵が倒れているのだが目的の夕夜たちの姿は見当たらなかった。
「敵に追われて引いたのか、俺たちと合流しようとして入れ違いになったのかもな」
「探そうにも手がかりがないとどうしようもないね」
辺りを見回して空が言う。
当てもなしに探しに行っても時間や労力の無駄遣いになってしまうだけなのでどうしようかと考えていると、京也たちが来た道から左手にある庭園への入り口から真央と海が銃を構えながらやってきた。
真央が持っている銃はG19で海はM&P9だ
「あ、真央ちゃんと海くんだ」
最初に気付いたのは里香だった。
辺りを警戒しながら真央と海がやってくる。
「怪我は?」
真央が京也たちの状態を聞きにかかる。
「俺が防弾服の上から撃たれたぐらいだな」
撃たれた場所を見せながら言う。
「骨は折れたりして無いから大丈夫だ。そっちは大丈夫か」
「京也さんたちがここを離れた後に、敵数名に襲われましたが問題ないです。加耶さんたちはここから少し行った所で隠れています」
京也の疑問に海が答える。
「それなら合流しに行くか」
海と真央が先導しそれに京也たちが付いて行く。
狭く木々に囲まれた道を行くと少し開けた所に土産屋があり正面の入り口にはどうやら鍵がしてあるようだった。
どうやらそこが目的地だったようで、真央たちは店の裏手に向かう。
そこには普段は店員が行き来するのに使われていたであろうドアがあった。
合図をあらかじめ決めていたらしく、真央が二回・一回・一回と間を開けながらノックした。
すると、ガチャと鍵の外れる音がしてドアがあいた。
「みんな無事だったか」
夕夜がそう言って京也たちを招き入れた。
中に入り店内を案内されるまま進むと今までは従業員の休憩所として使われていたと思われるスペースがあった。
そして、そこには加耶たちが勢揃いしていた。
先頭の夕夜に続いて京也が入り、里香・空と続いて中に入と最初は不安な表情をしていた綾や紗奈が安堵した表情に変わった。
少しの間お互いの無事を喜び合っていると不意に京也があることに気付いた。
「その二つの銃は二人の物なのか」
と、綾と紗奈に問いかける。
京也が言っているのは二人が座っていた場所のすぐそばに置いてあるCZ100とPx4の事だった。
「・・・ああ」
後ろめたさを感じて歯切れの悪い言葉しかでないながらも隠そうとせずに綾が答えた。
そして、無事に会えた喜びで気付いていなかったが綾と紗奈もまた京也たちが銃を持っていることに気付く。
「・・・なんだか、お互いに事情がありそうだな」
そのことを京也が綾の視線から察してそう言い、京也は加耶を含めた三人に事情を話し始めた。
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