第36話

敵から逃げられた京也達は周囲に気を張り巡らせながら夕夜の車が止めてある駐車場に走って向かい、無事に夕夜の車の前までたどり着くことができた。


「結局あれからなにもなかったね」


 里香や空も追ってくると思っていたらしく疑問に思った事を空が京也に聞いた。

 京也はちょっと考えてから「もしかしたら、時間稼ぎじゃなくてただ単にあまり戦う気がなかったのかもな」と答えた。

 それはつまり、敵も一枚岩ではなくあまり乗り気ではない奴もいるという可能性も示唆していた。


「まあ、今は詮索するだけ無駄だ。それより、空頼むぞ」


 京也にそう言われた空は力を使おうと集中する。

 すると、空自身の周りに天色の光が浮かび始めた。

 そして空が唯一できる無機物を透過させる使い車の中にある刀を車内から地面に落とし拾い上げた。

 この刀は空のために作られた物で普通の刀には無い、ある秘密が隠されている。

 空のマナの力とその仕掛けによって空はいくつもの任務を成功に導いてきた。


「よし、これから加耶達の所に向かうぞ」


 さっき別れた場所にまだいるとは限らないがとりあえずそこに向かうことにする。

 携帯電話で連絡するのは今どんな状態に置かれているのか分からないため躊躇ったのだ。


「まだあの場所にいると良いんだが・・・」


 走って庭園に向かっていると、目の前の売店の物陰から刃物を持った男二人組が襲ってきた。

 殺気を隠そうともせずに隠れていたのでそこに居る事を京也たちは気付いていたので冷静に反撃することができた。

 まず一人目を京也が冷静にブレンで狙いをつけ脚を撃ち、その後左手に持ち替え敵が京也のいる方向に倒れてきた勢いをそのまま利用し、右手でおもいっきり頭を殴り無力化する。つまりカウンターの要領だ。

 一方の空はというと、手に持った鞘に入ったままの刀を敵に向かって振り抜こうとする。

 敵も黙ってやられるわけもなく手に持った刃物で防ごうとする。

 だが空はその状況を狙っており一瞬だけ天色の光を放つ間に刀は敵の防御をすり抜けクリーンヒットしそのまま悶絶した。


「刀の扱いに関しては流石だな」


 先に敵を倒していた京也が危ないようなら加勢しようと状態を気にしていたがそれは杞憂だったようだ。


「これが私の取り柄だからね」


 無事に障害を取り除いた京也たちは庭園への前進を再開した。

 その後はうろついていた敵に見つからないように隠れたりその逆に隠れていた敵に襲いかかれて撃退したりしながらも無事に庭園に辿り着く事ができた。

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