第35話

物陰から飛び出ると敵もすぐに行動にでた。

どこにいるか分からない敵からの抑制された銃声が鳴り、数発の弾が京也に迫る。

すると、京也の目の前に里香のマナの力である証の朱色に染まった小さな壁が出来て銃弾を受け止める。

京也が飛び出したと同時に自分の智覚領域を力を使い広げていた里香は敵の銃撃をなんとか防ぐと、今の攻撃で敵の位置を把握できたのでマナの力を固めた球を敵の隠れているところに飛ばした。

こうすることで行使者である京也に簡単に敵の場所を伝えることが出来るのだ。

空もマナではあるが空はある一つの使い方以外は、苦手としていた。

そのため今は里香に任せるしか無いのだ。

位置を確認した京也は走りながらブレン・テンを構えその場所に向かって3.4発撃って牽制する。

敵もこちらに場所がばれたことに気付き先ほどとは違い隠れるのではなくすぐさま反撃してきた。

そしてそれに対しまた里香が力を使って京也を守ろうとする。

京也はそれで防げると思っていたのだが弾が里香の作り出した壁に当たったとたん、今度は弾が触れたところから壁が四散し、京也を襲った。


 「お兄ちゃん!」


里香はたまらずにそう叫んでしまう。

しかし、敵が撃った弾は9mmパラベラム弾と呼ばれる物でそれは京也が念の為にと着ていた防弾服によって止められていた。

だが衝撃は受け止めきれず京也を襲い、たまらず声が漏れる。

だがそれでも追撃をされるわけにはいかないので、足を止めずに動き続けた。

そして一度物陰に入り息を整えながら今起こったことについて考え始めた。

恐らく敵は最初に撃った時に防がれたのを見てマナがこちらにもいることに気付いたのだろう。

それで、マガジンを対マナ用の弾を込めたものに変えたのだろう。

だがそうすると、新たな問題がでてくる。

対マナ用の弾をAntiMana弾、通称AM弾と呼ぶのだがそれはNSGや特殊部隊といった限られた部隊にしか配給されない珍しい弾だ。

そこらの犯罪者やテロリストが手に入れられるような物ではない。

その事が気になるが、今はそんな事を考えている余裕は無いので頭の隅に置いておくことにし、目の前の戦闘に集中する。

弾は服で止まったがその衝撃によるダメージがあり弾のあたった脇腹に痛みがあるが骨は折れていないので問題はないと京也は判断した。

後ろにいる里香にハンドサインで指示を出す。

そして、先程敵がいたところに牽制射撃をして気を引く。

その間に里香はマナの力を使い石を持ち上げ敵に投げつける。

これならマナの力を消されたとしても慣性の法則によって敵のとこにまで飛んでいく。

それにともなって京也と里香たちも前進し敵との位置を詰める。

すると、敵は場所のばれている今の位置に居続けるのは得策ではないと考えたらしく後退し始めた。

それを里香が察し京也に伝える。

すると京也は里香たちに向かって敵をおわずに空の刀を取りに向かうと返した。

今回の目的は敵を無力化するのではなく、戦力を増やす事なので無理に追う必要はない。そう判断したのだ。

敵も虚をつかれたのか追っては来れなかったらしく、無事にこの場を後にできた。

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