第31話
そして、話している間に陸が綾の妹の事を聞き始めた。
「そういえば、俺もお前の妹の事は全く聞いたこと無いんだが、仲良いのか?」
京也は綾に妹がいる事は聞いていて知っていたが深く聞いたことは無く全く知らないのでこの機会に聞いてみる事にした。
「まあ、普通だと思うよ。喧嘩もするけど話もするしたまに勉強みてやったりしたこともあるし」
「今はまだ中学生だったっけ?」
話が聞こえたらしい紗奈も輪に加わってきた。
綾と昔からの馴染みである紗奈は妹とも仲が良く、二人が実家に住んでいた時は一緒に服を見に行ったりしていたのだ。
「来年から高校生だな」
「どこの高校通うの?」
「知らん」
「綾くんと、紗奈ちゃんがいるんだし私たちと同じ高校なんじゃないかな?」
「多分だけどあいつは、割と歌うのとか好きだから音楽系のがある高校じゃないかな」
「綾さんの妹さんはちゃんと夢があっていいですね、僕の妹は何にも考えてませんよ」
「あー」
陸の言葉に空の方を見ながら同意をしめす言葉をだす京也。
NSGは京也たちみたいな拾われた子供でも本人が望めば学校に通ったり働いたりして生活することができる。
ただ拾われた恩や人を護ることができるから、育った場所や仲間との絆を大事に思ってるからなどの理由で残る人の方が多い。
「そんな事ないよ、ちゃんと考えてるよ」
そんな話をしていると、空本人からの否定の言葉があがる。
「そうだよね、ごめんごめん」
と陸が苦笑し、謝った。
「まあ、将来なんて成るように成るし成らないようには成らないもんさ」
と綾が横から水をさすような事を言う。
「あんたはまた、そうやって夢の無い事を」
それを聞いた紗奈が言い返す。
「だってそうだろ、人生望めば叶うなんてそんな簡単には出来てないもんだ」
「それはそうだけど、頑張れば叶うことだってあるよ」
綾と紗奈が言い合いになりそうになりそうだなと思った里香が止めに入る。
「ほら、二人とも夫婦喧嘩しないの」
それを聞いて少し想像してしまったのだろう、ほんのりと顔を赤らめた紗奈は慌てて「ちょっと、里香」と里香の口を止めに入り、綾は「俺たちは夫婦じゃねえ」と言い返していた。
京也や加耶、真央などは相変わらずだなと見ていたし夕闇と朝日は微笑ましい光景だと笑っていた。
「いつもこんな感じなんですか?」
「ああ、そうだよ」
陸の疑問に京也が答える。
「仲良いんですね」
「仲が良いと言うか、お互いに相手のことが好きなんだよあの二人・・・綾君の方は多分だけど」
と里香が答える。
少し離れたとこにいる加耶が何か知ってるようで小さく「それだけなら・・・ね」と呟いていた。
人混みで周りが騒がしい事もあり誰にも聞かれる事は無かった。
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