第24話
次のペアを探すために動き出していた綾達はコンテナの中などに注意しながら動き回り怪しいところは紗奈と息を合わせてクリアリングしていた。
すると後ろにいた紗奈が「ねえ」と綾に声をかけた。
綾は前を向いたまま「ああ、分かってる」と答え紗奈にハンドサインで走れと指示をだし、物陰に走りだす。
綾はベニア板に、紗奈はその左後ろにあるタイヤがいくつも積まれた遮蔽物に隠れた。
すると、前方からエアガンの射撃音がし二人が壁にした遮蔽物に当たった音が鳴る。
遮蔽物から少し顔を覗かし後方にいる綾に向かってハンドサインで敵の距離と位置を教えた。
それによると十数メートルはなれたところに相手ペアはいるらしかった。
ハンドサインから得た情報を頼りに顔をだして索敵してみると奇襲に失敗し少し位置替えをしている相手ペアがいた。
ちらりと見えた感じからするとどうやら綾達と同じ高校生の男女のペアらしい。
先ほどプレハブ小屋から見えた二組のペアのどちらともとも服装が合わないのでまだあっていなかった最後のペアだろう。
綾はそう思いながら少し見えた相手めがけて愛銃のCZ100を構えトリガーを数回引くが相手には当たらなかった。
しかし、最初に撃ってきたときの狙いの良さや奇襲に失敗した時の対応から考えると相手もまたサバゲ経験者だという事がわかる。
先ほどのようにあっさり終わることはないだろう。
綾は無駄な被弾をしないためにも相手の出かたをうかがうことにし時折
牽制射撃をしお互いの射撃音や弾が障害物に当たる音などで騒がしくなる。
そして、綾が相手の気をひいている間に紗奈は目立たないように相手の後ろを取り綾と紗奈で相手を挟み込む作戦だ。
紗奈がいないことを気取られないように綾は相手がこちらから視線を離した隙に位置を変えては牽制射撃をしていく。
相手もそれにつられ反撃をしてくるが上手く物陰に隠れるが、気を引く役目の以上あまり長くは隠れ続けられないというジレンマが発生する。
その事に焦燥感をつのらせる綾だが慌てても被弾して紗奈を一人にしてしまうだけなので、落ち着いて行動するしかなかった。
紗奈も目の前にいるペア以外にも相手がいるかもしれないことや、同じことを考えて綾と撃ち合いながらも周りを警戒している相手ペアの事も気にしなければならないので思うようには動けずにいた。
「やっぱり馴れてる人達相手だと一筋縄じゃいかないわね、まあそれが楽しいんだけど」
小声で周りには聞こえないように独り言を言う紗奈。
それでも少しずつでも確実に進む。やがて相手の後ろに回り込むことに紗奈は成功した。
そして気づかれていない間に相手に向けPx4をかまえ狙いをつける。
相手がこちら側を見る前に発砲。
パンッ、パンッと先ほどまでの撃ち合いに新たな銃声が加わる。
紗奈が撃った弾はしっかりと狙ったおかげで相手ペアの片割れにヒットした。
そして残った方・・・男の方は自分の後ろに誰かがいることに気づきすぐさま位置変えをしようと立ち上がる。
その様子を見て綾は裏取が成功したと理解し、隙を逃さず綾と紗奈で狙い撃つ。
しかし障害物をうまく利用したり緩急つけて動くので弾があたらない。
綾はその動きを見て感心しながらトリガーを引く指を止めることはなかった。
どうやら相手の男はここでサバゲをするのが初めてではないらしくそのまま綾たちの前からいなくなってしまった。
追いかけて他のペアに会って遭遇戦になることもあるので優勝を目指している綾たちは逃げた男を追いはしなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます