第22話

 受け付けを済ませた二人はセーフティゾーンに入り、開始時間まで少し待つ事になった。


「そういえばエアガンとかルールってどうなってんだ?」


 何もしらないでエントリーした綾はこの後の事を知っているだろう紗奈に聞くことにした。


「二人でタッグ組んでのツーマンセル戦でエアガンはハンドガンだけ、時間は無制限で最後に一人でも残ってたとこが勝ち、だったかな。エアガンは貸し出しもありけど、持ち込みもいいんだって」


 そう言い終わるとポシェットから普段綾や紗奈が使っているエアガンがでてきた。

 綾が使っているのはCZ100で、紗奈はPx4だ。エアガンを出したポシェットはまだ膨らみがあり他にも何か入っている様だ。


「流石に用意が良いな」


 苦笑しながらCZ100を受け取る綾。


「まあ、半分くらいこれが目的だったからね。ほら、私たちって部活の時は大体別のチームになっちゃうし」


「俺を連れてきた理由はそれか」


「4割くらいわね」


「後の6割は?」


「それは秘密かな」


 そうはにかみながら言い返す紗奈。

 綾は残りの6割が気になったが聞き返す前にイベントの運営委員から声がかかりサバゲのステージへと向かう。

 あたりには綾たちと同じようにエアガンを持ったサバゲに慣れ親しんでいると思われるペアが一組と少しやったことがある程度であろう二つのペアが見えた。


「これは楽しめそうだな」


 綾は思ったままの事を言った。

 紗奈も辺りを見回して同じことを思ったらしく嬉しそうな表情をしていた。

 この二人は長年の付き合いだけあってお互いの考えもそれなりには似かよっていた。

 フィールドに入ると係員からルールなどの説明がされた後、各ペアは開始地点となる場所に誘導されていく。

 綾たちのスタート地点は周りにドラム缶やゴーカートなどが置いてあり見通しも悪くはない場所だった。

 左側には木やコンテナ、プレハブ小屋あり、右側には今いる地点と同じような地形とドラム缶などが置いてある。

 他の参加者を開始地点に誘導してからのスタートなので始まるまで少し時間があるので、その間に綾と紗奈は離れていても意思疎通ができるようにハンドサインを決めておくことにした。

 浜白高校の部室には大会に出る時に姿が見えなかったり誤解を招くことがないように咽喉マイクがあるのだがそれは持ってきていないらしい。

 スタートの合図があがると共に綾と紗奈はまず左手に向かうことにした。

二人は中心によると囲まれてしまう可能性もあるので、外周付近を目指すことにしたのだ。

 開始時に制限時間の説明がなかったのでこのサバゲは一組のペアもしくは最後の一人になるまで行われるはずだと考えていた。

 他のペアが減るまで待っている事もでるのだが綾たちの頭の中にはそんな考えは無かった。

 辺りに注意をはらいながら足を止めることなく進む。

 そして二階建てのプレハブ小屋の近くまで行き綾と紗奈はドアの前で呼吸を合わせて突入し綾は中に入って左、紗奈は右の安全を確保する。

 特に怪しいところも無く無事に侵入に成功し、そのまま一階の部屋も二人で協力しあってクリアリングをする。

 一階に何もないことを確認すると二階のクリアリングに移った。

 そして、特に問題も無くプレハブ小屋を占領した。


「今のとこは順調だな」


「そうだね、サバゲやるからには勝ちたいしこのまま行ってくれれば良いんだけど」


 だがサバゲは想定外の事も起こり得る。そして、そのことを二人は楽しみにしている所もあった。

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