第15話

 正門から見て射撃場などがある左側の訓練施設から居住区や事務所のある右側に移った京也達は自室を目指して進む。


「そんなに間空いてないのになんだか懐かしい感じがするね」


「そうだな」


 二人は久々に居住区に足を踏み入れた二人は違和感を感じた。

 その違和感は人に見られている様な感じであった。

 見える範囲に人影がない以上誰かが京也達を待ち構えていたのだろう。

 京也も里香もその事に気付いているが特に何のアクションも起こさないで、今は泳がせておく事にした。

 その事を知ってか知らずか気配は息を殺しながら少しずつ近づいて来る。

 そしてある程度近づき距離を詰めた気配の持ち主達は京也達に襲いかかった。

 一人目は、まず右腕を振り上げ京也に背後から殴りかかったが京也はその腕をつかむとそのまま背負い投げをして攻撃を防ぐ。

 間髪いれずに二人目も京也に襲いかかるが、それも投げた後の姿勢を利用し投げた相手に当たらないように斜めに前転してかわす。

 里香にも一人襲いかかっていたが相手の攻撃を綺麗にいなした。


「またかよ・・・」


 投げた相手や攻撃をかわした相手を見た京也の口から思わずそんな言葉が飛び出した。


「ははは・・・すみません京也さん」


「・・・」


「ごめんね、里香お姉ちゃん」


 三者三様の返事が返ってくる。

 この三人の両親はNSGに所属しておりこの三人も未だ正式には見習い扱いだがNSGに所属している。

 名前は、返事を返した順に陸りく、海かい、空くうだ。

 この三人は三つ子で空がこの三つ子の中で唯一の女の子で、NSG内の珍しい武器を使うメンバーの一人だ。


「何となく予想はしてたけどね、案の定だったよ」


 里香の言葉に陸達は悔しがっている。

 過去にも何回かこういう事をしてきているので里香達は予想する事ができたのだ。


「やっぱり、まだまだ京也さん達には及びませんね」


「でも、前より息があってたし動きも良くなってたよ」


「京也さんにそう言ってもらえて嬉しいです」


 陸の素直な言葉にくすぐったい気持ちになった。

 京也自身まだ教わる立場でもあり、素直に褒められり事は少ない。


「それで、今日は何のようで戻ってきたんですか?」


「勿論、私に会いに来てくれたんだよね里香お姉ちゃん」


「遠からず近からずって感じかな」


「えー、違うのー」


 里香の事が大好きな空が残念そうな声をだす。


「でも別に空ちゃんと会うつもりが無かった訳じゃないよ」


「ほんと・・・?」


「勿論」


 残念がっていた空は今度は里香のフォローに喜ぶ。

 このメンバーが集まった時の決まりごとだ。

 それを横目に陸が京也に話かける。


「確か今京也さん達は高校に行ってるんですよね?」


「ああ、そうだ」


「僕達も早く仕事を任せてもらえるようになりたいです」


「お前たちならもう少しで任せてもらえるようになるさ」


「そうなるといいんですけどね」


「そういえば、夕夜ゆうやさん達は?」


「父さん達は今任務中です、何か用事でもあったんですか?」


「いや、新年になってからしばらく会えないかもしれないから今のうちに会っておこうと思っただけだ」


「今年ももう終わりですもんね、無事に新年迎えられそうでよかったですね」


「ああ、これから自分の部屋に行ってから親父のとこに行こうかと思ってるんだが陸達もくるか?」


「藤堂さんの所ですか?遠慮しときます、親子水入らずの邪魔はしたくないですから」


「そうか・・・、里香行くぞ」


 京也の呼びかけに空の相手をしていた里香が答える。


「もう、行っちゃうの・・・?」


「また、帰る前に会いに来るよ」


「分かった・・・」


 名残り押しそうに里香を見送る空を後にし、京也達は自室へ向かう。

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