第8話

食堂へ向かう途中で紗奈に偶然会い紗奈も同行することになった。(里香や紗奈は弁当持参)


「綾は何を食べるんだ?」


 京也は食堂を利用した事が無いので何がいいのか分からない。


「そうだな・・・今日はうどんだな」


「じゃあ俺もうどんにするか」


 綾と一緒にうどんを頼み里香達が場所取りをしてくれた六人掛けのテーブル場所に行き席に座る。

 加耶は先に席に着いていて里香達と俺達が来るのを待っていたらしい。

 席順は紗奈・里香・加耶、そして向かい合うようにして綾・京也となった。


「すまん、待たせた」


「気にしないでお兄ちゃん」


 みんなが席に座れたので昼ご飯を食べる事にした。


「綾と加耶は普段から食堂で飯食ってるのか?」


「俺は料理できないから基本食堂だな」


「私はいつもはお弁当なんだけど今日は寝坊しちゃって・・・」


 恥ずかしそうにうつむきながら加耶が言う。


「里香達の弁当は二人で作ったのか?」


「今日は私が当番の日だから私が作ったんだよ」


 里香が美味しそうでしょと言わんばかりの顔をしている。


「そうなのか」


「莉灯さんも料理できるんだ」


 綾が以外そうな顔をして言う。


「も、って事は紗奈も料理できるのか?」


 京也は綾の言ったことが気になり紗奈に話を振った。


「うん、できるよー」


「そうそう、こいつ割と料理作るの上手いんだよな」


 綾が昔を思い出すように言う。


「食べた事あんのか?」


 余分な事言ったと思ったらしく少し困った様子だった。

 紗奈の方を向いてみると顔を赤らめていたが京也がじっと見ている事に気付いたらしく慌てて「べ、別にあの時は綾の為に作った訳じゃなくて多く作っちゃたから分けてあげただけよ!」と言い綾も続けて「本当に何にも無かったんだから勘違いすんじゃねーぞ」と続けて言ってきた。


「分かったから落ち着け」


 紗奈達と京也が話している間里香は心ここにあらずといった様子で食堂の奥の方を見つめていた。


「里香?どうした」


 京也は里香が見ている方向に目を向ける。

 するとそこには見知ったある女性がいた。


「・・・」


 里香が凝視していた理由が分かった途端京也も思わず凝視してしまった。

 凝視してしまった相手もこちらに気付いた様子だった。


「なんであいつがここに居るんだ・・・」


 京也達の目線の先にいるある女生徒は一緒にいた他の生徒と別れこちらに向かってくる。


「あれ・・・京也と里香?」


 そして近づいてわざとらしくそう言った。


「ん・・・真央まおか」


 京也も聞きたい事があったが綾達もいるので真央に話を合わせる事にした。


「久しぶりだね、真央ちゃん」


「久しぶり、里香」


 里香もその事は分かっているらしく当たり障りの無い会話をする。

 聞きたい事は後で里香と聞きに行く事にした京也は誰この人?と頭の上にはてなを浮かべている加耶に(綾と紗奈は面識があるらしく真央と挨拶を交わしていた)真央の紹介をする。

 その後加耶の紹介をした所で委員会の活動時刻が近づいてきたので京也と加耶は残っていた料理を食べ終わらせて二人で委員会の活動場所へとむかった。


 ◇◇◇


 紗奈に聞いたところ、真央は4組らしいので放課後に真央の元を訪れここにいる理由を聞いたが結局はぐらかされてしまい、答えは聞き出せなかった。

 京也たちよりあとに転入してきた生徒はいないはずなので真央は京也たちが転入してくるより前からこの学校にいた事になる。

京也は真央もどうせ任務でいるんだろうと見当をつけた。

 京也と里香は真央との交流も長く京也も信用している。

 真央はNSGに所属しているのでいざという時は力を貸してくれる事だろうと京也は思っていた。

 京也は思わぬ再開に驚いたがそれ以外は平和な日だったと振り返り寝ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る