第7話

「結局何も分からなかったか」


 あの後藤堂から電話があり紗奈の事を聞こうとしたのだがなに一つとして聞き出せなかった。

 藤堂の様子からして、何も掴めてないのでは無く加耶の時と同じように俺達には何も教えられないようだ。

 普通の学校に狙われるような生徒が何人も通ってる事はまず無い。

 それなのに同じクラスに二人も狙われる人物がいると言うことは同じ理由で狙われてるのか?

 だが、俺達の任務に紗奈の護衛は含まれていない。

 同じ理由なら紗奈も護るように言われるはずだが・・・

 いくら考えても、答えはわからないし俺達の仕事はあくまで護衛だからな。気にしてもしょうがないか。

 そう結論をだした京也は学校に通う準備をする。

 最後にいざという時のために持ってきたブレン・テンの確認をし部屋をでた。


 ◇◇◇


 寮から出ると雪が降っており辺りが白く染まっていた。

 女子寮の方から聞きなれた声が聞こえてきた。

 知っている声を聞いた京也は女子寮へと向かい出した。


「何やってんだ里香」


 女子寮に着くと里香と紗奈が雪で遊んでいた。


「朝起きて外が真っ白だったからこれは遊ぶしか無い!って思ったんだよ」


 楽しくてしょうがないらしく少し大きな雪玉を作っていた。

 恐らく雪だるまを作っているのだろう。


「おはよー京也君」


「おはよ紗奈さん、ごめんな里香に付き合ってもらって」


「別に好きでやってる事だし気にしないで」


 里香はかなり紗奈に気に入られているようだ。

 任務が終わったら俺達はこの学校から離れなければならない事が少し心配だ。


「そっか、それは良かった」


「それに寒くなったら里香にくっついてあったまるし」


「なるほどな」


「二人が前住んでた所って雪降らなかったの?」


 里香を見ながら紗奈が聞いてきた。里香は体を作り終えたようで頭を作り始めていた。


「いや、雪が降る事自体は珍しくなかったよ。ただこんなに積もる事は無かったけど」


「そっか、それじゃこんなに積もっちゃうと歩きにくいでしょ」


「おかげでいつもよりも余計に疲れた」


「ここで生活してればそのうち慣れるよ」


「里香は早くも慣れたようだがな」


「里香は外でてからずっと走り回ってたからね、雪でこんなにはしゃぐとは思わなかったよ」


「珍しい物見てテンションあがったんだろうな、あいつ子供ぽいし」


「出来た!」


 どうやら里香が雪だるまを作り終えたようだ。

 見てみると頭も体もバランスもよく出来ていた。


「そんじゃ学校行こうぜ」


「感想とかないの、お兄ちゃん?」


「感想ていわれても、ただの雪だるまだろ」


「私が頑張って作った雪だるま」


「そうだったな、よく出来てるな」


「そうでしょ」


「じゃ行くか」


「えーそれだけ?」


「もう時間も無いし、ね里香?」


 紗奈の助太刀もあり里香も渋々学校に行く事に納得してくれたようだ。


 ◇◇◇


「達也、飯食ったら雪合戦しようぜ」


 昼休みに綾が唐突にやってきた。


「やんねーよ」


「え・・・」


「いや、そんな意外そうな声だされても」


「雪積もってるんだから雪合戦だろ!」


「おい、そんな大きな声だすと・・・」


「なになに?雪合戦?」


 雪合戦という言葉につられ里香がやってきた。


「ほら、子供がきちゃっただろ」


「お兄ちゃん、それって私の事かな?」


「とにかくやらんからな」


「あれ、無視!?」


 里香がショックを受けているような顔をしてこちらを見ているが、今里香とも話すと押し切られそうなので放って置くのが得策だ。

 綾は雪合戦をしたそうにしていたがすんなりと納得してくれたようでまた、雪合戦をやろうとは言わなかった。


「そんじゃとりあえず昼飯食いに行くか」


そう言い京也は立ちあがる。


「京也くん」


 食堂へ行こうとした京也に加耶が話しかけて来た。


「なんだ?」


「今日は昼休みに保険委員の活動あるから後で一緒に行こうね」


「おう、分かった」


 加耶と話し終えた京也は稜達と食堂に行こうとし、それなら一緒に行った方が都合がいいかと思い加耶も誘い一緒に食堂に向かった。

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