第5話
目の前の角を紗奈は確認する。
相手チームが居ない事を確かめ、後ろにいる仲間に相手が居ない事を伝える。
ヒットコールは少し前に同じチームの武部以外の声が聞こえてないので、まだ相手チームは全員生き残ってる事になる。
生き残っている人数を確認しながら紗奈は進む。
「・・・居た」
少し進んだ所で相手チームの二人を発見した。
後ろの仲間にその事を伝え、紗奈自身は手に持った銃―――SCARを構える。
仲間が後ろで銃を構えた所で「スリーカウント」と声をかけてきた。
「3、2、1」
仲間がスリーカウントを言い終えた所で撃ち始め、紗奈と仲間の撃つ電動ガンの銃声が重なる。
弾が当たりヒットコールが聞こえると撃つのをやめ、近くにまだ敵が居ないか警戒をする。
部員は全員で二十三人。
相手チームが十二人でこちらが十一人。
そこから武部が被弾したので十人。
相手チームの二人を倒したので相手も今は十人だ。
ルールは殲滅戦なのでお互いのチームは、後十人倒さなければならない。
「それじゃ私たちは、上の階に行くからここは任せたよ」
四人連れて、紗奈たちは残りのチームメイトと二手に別れる。
廊下から差し込む日光によってできる影にに注意しながら目的地である一階から二階へ上がる階段がある場所まで進んで行く。
旧校舎も三階まであり、二階に渡り廊下がある。
つまり、渡り廊下を通ると相手の裏を取れる事になる。
しかし、三階の窓から渡り廊下が見え狙う事が出来るので危険が伴う。
階段までは、相手と会う事なく辿り着く事が出来たが別れた仲間の方からヒットコールがいくつか聞こえた。
相手が速攻で二階を確保しに来ていた事に備え慎重に階段を上がり、辺りを慎重にクリアリングをする。
すると、右側から相手の射撃音が聞こえてきた。
急いで物陰に隠れる。
数人の仲間は被弾してしまったらしく、ヒットコールが聞こえた。
一瞬だけ顔を出し相手の姿を探す。
だが相手も撃ち終えたと同時に隠れたらしく姿は見えない。
仲間の人数を確認するとどうやら、相手からの射撃で仲間の内二人が被弾したらしく紗奈自身を含めて 三人になってしまった。
聞こえた銃声から察するに相手も少数だろう。
銃声のした方向に射撃して相手を探ってみるが反撃は無かった。
紗奈は仲間に二階を頼み単身三階へ向かう。
三階では待ち伏せも無く階段付近の安全は確保できた。
障害物を使いながらクリアリングをする。
ちょうど、真ん中辺りまで進んだその時相手を発見した。
―――四人。
見えただけで四人いた。
さっきの銃声からすると二階に最低二人はいる事にいる事になり、一階に最高で四人いる事になる。
ここで下の階に引くと三階からくる相手チームと下に居る相手と戦う事になる。
仲間が楽になるように少しでも人数を減らしておきたい紗奈はこちらに向かってくる相手を待ち構えるため死角になる場所にグレネードを構え相手がくるまで息を潜める。
刻刻と相手が近づいてくる。
紗奈はタイミングを図り手榴弾のピンを抜き相手に向かって投げると同時に動いていた紗奈は両手でしっかり構えたSCARのトリガーを引く。
手榴弾に気を取られていた相手の一人にヒットする。
その後手榴弾が作動し一番近くにいた相手にヒットした。
奇襲は合計二人の相手を戦闘不能にした。
残った二人は曲がり角に隠れ反撃してくる。
近くの壁に当たり音を鳴らすが紗奈に当たる事は無かった。
相手の出方を見て反撃するも当たらない。
お互いに壁に当たりはするが肝心の相手に当たらなく時間が過ぎて行く。
業を煮やした紗奈は相手の射撃が止んだ隙に廊下に置かれている障害物まで前進する。
相手との距離が縮まりBB弾が跳ねる音も、さっきよりも大きく聞こえるようになった。
前方に居る相手と交戦していると後ろから新たな銃声が聞こえてきた。
一瞬仲間だと思ったが明らかにこっちを狙っている以上相手チームのメンバーだろう。
目の前の障害物で前にいる相手の射線から隠れ後ろに現れた相手に向かって撃つ。
が、前方にいた相手が前進してきていて前後から挟まれ撃たれる形になり紗奈にヒットしてしまった。
「ヒット!」
被弾した紗奈は両手を挙げヒットコールをする。
「流石に挟まれたらどうしようも無いって・・・」
階段を降り部室に向かう。
一階で銃声が聞こえてきたのでまだ味方と相手が交戦しているようだ。
まだ残っている部員の邪魔にならないように注意しながら進む。
旧校舎の下駄箱に着き外に出て安全を確認しゴーグルなどを外して部室へ向かう。
部室に着いた紗奈は扉を開ける。
「あれ?里香と京也くん、それに夏海さんも・・・」
部室の中に居た思わぬ人物の登場に驚く。
「かっこよかったよ紗奈ちゃん!」
「ありがと里香、それよりなんでここに居るの?」
「加耶ちゃんに部活紹介してもらってるの」
里香は加耶に部室紹介してもらうようになった経緯を話す。
「そっか、この学校には色々あるから楽しんでって」
「もちろん!」
里香が元気いっぱいに返事をする。
「他のとこにも行かないといけないのでそろそろ行きましょうか」
ひと段落したと思った加耶が部室にある時計を見ながら言う。
里香は名残惜しそうにも紗奈を見上げた。
「また後でね、紗奈ちゃん」
「じゃましたな」
「お邪魔しました」
三者三様の返事をし扉をあける。
「またね」
紗奈も返事をし、三人を見送った。
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