第2話

平日に転入したので朝のホームルームが終わったあとは授業があるが、教科書はNSGで手配して貰ったし、学校に潜入することがあるメンバーはかなり勉強をしているので特に問題はなかった。


 (隣が加耶だと分かっていれば教科書持ってこなかったのに・・・過ぎたことを悔やんでもしょうがないか)


 京也は里香の方を見ると、前の生徒と話をしていた。

 里香は人懐こいからどこに潜入しても直ぐに打ち解けてしまうのだ。

 悪いことでは無いし長所だと京也は思うが敵の目星もついていないのでつい心配してしまうのだ。

 ふと、時計を見ると授業が始まる少し前だった。

 あまり目立たないようにひっそりと授業を受けようと思う京也であった。


 ◇◇◇


「無事終わったね。お兄ちゃん」


「そうだな、何事も無くて良かったな」


 今は、授業も無事終わり寮の説明を聞きに職員室に向かっているところだ。

 寮は男女別に寮があり二人部屋だ。

 寮では流石に里香一人で護衛にあたってもらうが何かあれば連絡がくる用になっている。

 目的の職員室に着き、目の前の扉を開けた。


「智恵先生いますかー?」


「あ、ちょっと待っててねー」


 と、奥の方から声が聞こえてきた。


 言われたとおり少しの間待っているど智恵先生が奥の方から出てくる。


「それじゃ、寮の説明するから多目的教室に行きましょうか」


 職員室は二階の中央にあり、多目的教室は一階の端にある。

 この学校の事はさっき里香と共に加耶に教えてもらった。

 この学校は一学年約三百人、三学年合わせて千人近くいるそうだ。

 一年生が三階、二年生が二階、三年生が一階となっている。

 階段を降り先生と共に多目的教室に向かう。


「お兄ちゃん」


 里香が俺にだけ聞こえるぐらいの大きさで話かけた。


「なんだ?」


 里香に習って声を小さくして聞き返す。


「実は先生が敵で、人気のない多目的教室で襲って来たりしないかな」


「大丈夫だろ。俺たちはまだ目立つ事はして無いから敵に気付かれてはないだろうし、生徒を狙うなら生徒に扮して潜入するはずた」


 今までに教師に扮していた奴もいたが、あれは狙われていた奴が赤点ばっかりとっていて、補習の名目で呼び出して襲おうとしていたからだ。

 何かしら理由がない限り教師に扮するメリットは少ない。


「本当に里香は運動神経は良いけど頭を使う事が苦手だな、今までだってそうだったろ?」


「むぅ、頭を使う事より身体を使う方が好きだからいいんだもん」


 里香と話ていると、多目的教室に着いたので先生のあとに続いて教室に入る。

 中には机があり向かい合う用に椅子が置いてあった。


 ◇◇◇


 寮の説明を聞き終え京也たちは学校を後にし寮に向かったいる。


「ちゃんと寮のルール守るんだよ、お兄ちゃん?」


「あぁ、任せろ」


「とか言って前はルール破ったよね」


 京也は昔焦ってミスしてしまったことがあった。


「あの時は、非常時だったんだよ」


「あの時は凄かったね」


 里香は思い出したのか、軽く笑っている。


「たまには、ああいう事もあるって」


 京也は照れ隠しに里香の頭を撫でる。


「むぅ・・・恥ずかしいんだからやめてよね」


 とか言って嫌がらない事は昔から変わらなく実のところ、里香は気に入っていた。


「そろそろ、着くな」


 少し歩くと寮が見えてきた。


「おー、大きいね」


 寮は四階建てで、男子寮と女子寮は向かい合うように建っている。


「一応気を付けるんだぞ」


「はーい」


 寮では人気が多いし、二人部屋なので加耶が襲われる可能性は少ないはずだが万が一という事もある。 一番の問題は加耶の同室が敵だった場合だが、転入したのは京也たちだけだ。


「そんじゃな」


「おやすみー」


 二人は別れ自分の部屋へと向かう。

 京也の部屋は三階にある。

 三階まで行くのは面倒だし何かあった時に、動きにくいなと思いながら京也は部屋を探す。


「えーと、あった。ここだ」


 自分の部屋を見つけドアを開ける。智恵先生から聞いた話によると、すでに寮に入っているのは偶数なので俺は一人部屋らしい。


「うむ、流石二人部屋だ。でかいな」


 部屋に着いた京也は部屋の中を確認する。


「・・・特におかしいとこはないか」


 京也は一息つき藤堂に電話する。

 少しして、藤堂が電話にでた。


「おう、無事に潜入出来たか?」


「はい、問題無く潜入できました」


「どうだ、浜白高校は?」


「生徒の数が多くて護衛しにくいですね」


「だからこそお前らに頼んだんだ」


「そう言うことは、早く言ってくださいよ」


「すまん、すまん」


 たく、本当に謝る気あるのか?


「これから、大変だろうが頑張れよ」


「分かってますよ」


「それと、次は里香から電話させてくれ」


「里香の声が聞きたいからとかじゃないでしょうね?」


 まさかと思い聞いてみる。


「・・・」


 どうやら図星だったようで、黙ってしまった。


「そんなんだから、話てもらえないんですよ」


 そう言い残し電話を切る。


「さて・・・疲れたし、寝るか」


 眠くなった京也は二段ベッドの下に潜り込んだ。

 ベッドに潜り込んだ京也は襲ってきた眠気に逆らわず目を閉じたのだった。

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