第38話 vsサイキックパワー僕ちゃんボゥイ

 蛍石スバル、16歳。

 彼は今、アキハバラのど真ん中で困惑していた。正面にはサムライと斬り合う同居人。後ろには体育座りをして見学モードに入っているシャオラン。更に同居人の向こう側には、まだ呆けたままのサイキネルとコメット。完全に取り残されている。そして同時に、いつ襲われても文句は言えない状態になっていた。生身で彼らと戦えるかと問われたら、当然答えはNOである。スバルは一般人だ。更に付け足すと、50メートル走のタイムがクラスの中でビリだったくらいには運動が苦手である。今はよく動いてるから少しはタイムが縮まったとは思うが、それでもコンボ主体の高速格闘ゲームの中に出てきそうな連中と張り合える自信はない。それゆえに、襲われれば確実に死が待っている。

 彼らと抗う為には武器が必要だった。その武器も一応持ってはいるのだが、下手に出せないのが今の現状である。なんといっても、獄翼を自動操縦でここまで呼び出したとしても時間がかかるのだ。ポケットに忍ばせてあるスイッチを押したことに気付かれれば、獄翼が到着するまでの間に人生終了。後ろに控えているシャオランがそれに気付かないわけがない。


「……出せば?」

「え?」


 難しい顔で考え込むスバルに、体育座りしていたシャオランが言った。


「……ブレイカー。君が持ってるんでしょ?」


 バレた。いや、カイトが生身でブレイカーとも張り合っている以上、スバルが護身用の武器を持っているのが自然ではあるのだが。それでも、敵に対してそれを出せというか普通。疑念の視線をシャオランに向けると、彼女は面倒くさそうに続けた。


「……多分、そろそろ爆発するから」

「は?」


 なにが、とは尋ねることはできなかった。シャオランの気怠そうな視線はスバルを見ておらず、カイトとイゾウの向こうにいるサイキネルに向けられている。その両肩は、わなわなと震えはじめていた。


「……君がブレイカーに乗って、戦うのは知ってる。それで美味しそうなら、相手してあげる」


 不吉な台詞が飛び出してきた。まるで料理にでも例えられた気分になる。あまりいい気分はしない。しかしこれは好機でもある。


「後悔しても知らないからな」

「……楽しければいいよ、私は。今は暇だし」


 その言葉を聞き、スバルは絶句する。シャオランはこれまで出会ってきた兵達とは、明らかに違う態度である。国の為、あるいは新人類としての誇り、もしくは過去の因縁と様々な理由で襲い掛かってきた刺客たち。だが彼女のそれは類を見ないタイプだった。

 得体の知れないなにかを前にして、とても不気味に思う。


「……くそっ」


 かといって、スバルに他の選択肢がある訳でもなかった。やや迷うそぶりを見せた後、スバルはポケットに手を突っ込む。次の瞬間にはレバーのような棒の先端についているボタンに触れ、それを力強く押した。

 同時に、アキハバラから僅かに離れた廃工場で獄翼の瞳に光が点る。心無い無人の機体は主に呼び出され、彼の危機に駆けつける為に工場から飛び出した。そして数分が経過した時、その飛行音はアキハバラに届いてくる。


「お、おい! アレを見ろ!」


 ギャラリーの中から誰かが天を指差し、そこに映る黒い影を指摘した。


「あれはなんだ!?」

「カラスか?」

「それともVF-29かな?」

「いやいや、バットマンでござるよ」

「いんや、あれは――――!」


 ざわめくギャラリーが徐々に近づいてくるそれを視界に入れ、叫んだ。同時に、つっこんでくるソイツの被害を避けるように避難しはじめる。


「ブレイカーだ!」


 誰かの叫びが聞こえたと同時、獄翼はアキハバラの大地に着地した。コンクリートが揺れ、カイトとイゾウの走行を支える足場が激しく振動する。


「む!?」

「来たか」


 イゾウに見切りをつけるようにしてカイトが離れる。彼はスバルに近づくと、やや距離を置く場所で足を止めた。


「とっとと乗れ。俺がこいつらを足止めする」

「わかった!」


 獄翼のコックピットが開き、スバルを歓迎する。それを見たスバルはハッチから伸びるウィンチロープを掴み、コックピットへと昇っていった。ここまでイゾウとシャオランによる攻撃はなし。寧ろイゾウは獄翼を眼中に入れてない様子だった。彼の両手に握られる刃は、変わらずカイトのみを捉えている。

 変化があったのは、シャオランだった。彼女は体育座りの姿勢を解き、ゆっくりと立ち上がる。そして獄翼を見上げると、ぼそりと呟いた。


「ウイング展開」


 直後、シャオランの背中を突き破るようにして白い翼が出現する。一枚一枚の羽が鋭利な刃物のようにも見えるそれを大きく広げ、シャオランは羽ばたいた。


「目標捕捉」


 シャオランの死んだ魚のような瞳に、光が映る。それは同時に、彼女の視界に様々な電子文字を表示させていった。


「こいつは――――」


 それを見たカイトは理解する。シャオラン・ソル・エリシャル。今まで気付かなかったが、彼女はバトルロイドだ。背中に生えた機械の六枚翼は、大使館で数えきれないほど破壊してきたそれと同じ物だった。


「まさか、オリジナルか!?」

「左様」


 飛び立った白髪の女を見上げたカイトの視線を戻したのは、イゾウの言葉である。


「あの女はバトルロイドの基になった新人類よ。言わば、バトルロイドとは量産型シャオランということになる」


 それだけ聞くと弱そうに思えるかもしれない。大使館に配備された彼女のそっくりさんは、皆カイトに破壊されてしまった。だが、オリジナルがコピーと比べて劣っているかといえば、それは場合による。

 シャオランの場合、量産しやすいようにバトルロイド達の出力は抑えられてきた。使用されているアルマガニウムも必要最低限だということを考えれば、彼女とバトルロイドの差は明らかだ。

 

「しかし、それも今の我らには関係のないことよ。それとも心配か、XXX」


 いや、とイゾウは区切る。


「物怪にその気はないのだったな」

「勝手に決めるな」


 両手の爪をイゾウに見せつけ、カイトは構える。右足は獄翼側を向いたままだ。何かあっても、すぐに駆けつけられる体勢だった。


「では、邪魔が入らぬうちに再び死合おうぞ」


 イゾウが構え直す。ソレと同時、スバルは獄翼のコックピット内で操縦桿を握りしめた。獄翼の瞳が再び輝き、それが決戦の合図となる。


「参る!」


 そのタイミングを見計らったかのようにイゾウの姿がブレ始める。


 来る。

 カイトはそう意識しつつも、背後でシャオランに向き直る獄翼へも注意を向けた。だが、その決戦の合図に待ったをかけるようにして、


「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 アキハバラの道路に、断末魔の叫びにも似た絶叫が木霊した。その場にいた全員が戦う姿勢を取ったまま、そちらに視線を向ける。

 サイキネルだった。


「こ、こここの僕の! サイキックパワーが、敗れた!」


 頭を抱え、空を仰いで絶叫する。1人称も私から僕に変わっているところを見ると、かなり混乱しているようである。横の黒猫も、慌てて彼のフォローに入った。


「お、おいサイキネル。そんなショック受けんでも」

「否! 否否否否否否否、いなぁっ!」


 聞いちゃいなかった。彼は鬼のような形相でカイト達を睨み、続ける。


「僕のサイキックパワーは無敵なんだ! お前みたいなゴキブリ野郎になんか、負けないんだ!」

「ゴキブリ……」


 既にイゾウによって人間失格の烙印を押されたカイト。そんな彼がとうとうゴキブリにまで落ちぶれた瞬間である。


「集え、サイキック・プゥァワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!」


 サイキネルは拳を突き上げ、空気中に漂っていたサイキックパワーを己に集約させる。その影響か、徐々にサイキネルの髪色は黒から赤へと変色していき、逆立っていった。


「はあああぁっ」


 サイキックパワーを全身に集め、サイキネルが一呼吸置く。そして改めて、眼前にいる敵を見た。カイトと、何時の間にかブレイカーを呼び寄せたスバルがいる。更には味方のイゾウとシャオランもいるではないか。全員勢揃いという奴だ。


「食らえ、必殺!」


 だがサイキネルは、味方がいるにも関わらず大きく振りかぶった。まるで弓を引くかのように右手を下げ、その拳にサイキックパワーを凝縮していく。


「お、おいサイキネル!」


 コメットが慌てて仲裁に入ろうとするが、サイキネルは彼の存在をガン無視していた。


「ちっ、もうしまいか」

「……緊急警告。サイキネル氏がマジになられたご様子」


 イゾウとシャオランがそれぞれ残念がるようにして、サイキネルの視界から去る。それを見て未だに行動できないのはスバルだけだった。


『え? え?』


 折角ブレイカーに搭乗して、やってやるぞと活き込んでいたのだが完全に出鼻を挫かれた状態になった。そんなスバルに対し、カイトは叫んだ。

 

「避けろ、馬鹿!」

「サイキック!」


 だが、もう遅い。サイキネルは引いた拳を前に突き出し、吼える。


「バズウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!」


 空気が歪み、強烈な圧迫感がカイトたちを襲った。そして彼らは見る。サイキネルの拳から、赤い閃光が放たれたのを、だ。


『あれはなんの光!?』

「くそっ!」


 勢いよく飛んでくる赤い閃光を前にして、ただただ混乱するスバル。そんな彼の前に立つカイトは両手を前に突き出して、赤い閃光に立ち向かった。赤い閃光がカイトを前にして弾丸のように渦巻き、抉るようにして襲い掛かる。カイトは爪を伸ばし、赤い弾丸にそれを突き刺した。


「ぐうっ!」


 吹き飛ばされてしまいそうな圧力がカイトを襲う。しかしカイトはなんとか踏み止まり、爪を突き刺した個所を起点として亀裂を生む。直後、カイトの両手が大きく左右に広げられた。同時に赤い弾丸は左右に引き千切られ、それぞれ破られた方向へと飛来する。

 破砕音がふたつ、鳴り響いた。獄翼の後方にそびえ立っていたビジネスビルと、電気屋が崩れ落ちていく。


「ファッキン!」


 必殺の一撃を破られた。その事実がサイキネルを更に苛立たせ、落ち着きをなくさせる。表面で飾っていた自信家で紳士的な態度はそこにはなく、完全に力任せのヤンキーみたいなセリフになっていた。尚、コメットはそれを見て後ずさっていた。


「僕のサイキック・バズーカをよくも切り裂いたな! なんで大人しく当たらないんだ、ええ!?」

「当たるか、馬鹿」


 言ってることが滅茶苦茶である。元々よくわからない上に自信に満ち溢れていたが、長い放心時間を経た後、人は此処まで変貌できるものなのか。恐らく、こちらが素なのだろうが。


『カイトさん、手は大丈夫なの!?』


 ここにきてようやく状況の整理が出来たスバルが、カイトに問う。カイトはゆっくりと両手を広げ、傷を確認した。左右の掌は、真っ黒に焼き焦げている。それでも尚、手としての形と保っているのは彼が持つ再生能力の賜物だろう。

 だが、それでも。


「……ちょっと、きついかな」


 正直に言うと、それが本音である。今の技を連発されるとなると、かなり厳しい。防ぐだけで吹っ飛ばされかけて、尚且つ両手もこの有様では身が持たない。加えて、敵はサイキネルだけではない。イゾウとシャオランも、まだ健在なのだ。


「浮かないか、XXX」

「両手にダメージを確認。しかし細胞の再生が行われている様子です」


 そんなことを考えていると、ふたりが戻ってきた。彼らはサイキネルとカイトの間に現れ、各々思ったことを呟いている。


「どけぇ、貴様ら!」


 だが彼らに対し、敬意を払っていたサイキネルは暴言を吐き始めた。最早、完全に我を失っている。コメットも慌てふためいているだけだった。


「ソイツは僕が倒す!」

「某の獲物だ」

「……できるなら私も、戦ってみたいです」


 三者三様に引く気はなく、数秒間の睨み合いが始まった。そして全員がカイトに視線を戻し、ある結論を導きだす。


「では、早い者勝ちだな。協調性の無い奴らめ」


 サイキネルがいう。


「某は元々言っていた。合わせる自信はない、と」


 イゾウが刀を抜く。


「妨害は?」


 シャオランが翼を広げ、尋ねる。その質問に対し、ふたりは迷うことなく言った。


「問題あるのか?」

「異存はない。某は斬る相手が貴様らでも、特に構わぬ故」

「……では、始めましょう」


 3人が一斉にカイトとスバルを見る。王国の為に戦う兵にしては異質すぎる迫力を前にして、思わず後ずさった。


「こいつ等……!」

『カイトさん、乗って!』


 そんなカイトに対し、獄翼からスバルが叫ぶ。

 

『SYSTEM Xだ! ここなら、カイトさんの腕がやられても戦える!』

「そうしたいが、果たして許してくれることやら……」


 自嘲気味にカイトが言う。笑うしかなかった。ゲイザーによってかけられた病はいまだ健在である。エレノア戦に比べれば発症は遅いが、いつ症状が再発してもおかしくはない。

 そんな状況で、この3人を相手にしろと言うのか。直接対決でも苦労しそうな、この3人を。エレノアの時、負けそうになったのだぞ。


「さて、どうするか」


 心底困り果てた顔で、カイトは呟く。同期のカツ丼屋に戻る直前、風邪薬は一通り飲んではいるが、果たしてそれがどれだけ持ってくれるだろう。状況は割と最悪な方面に向かいつつある。いかに巨大ロボットがあるとはいえ、既に情報が行き渡っている相手にそれが通用するとは思えない。


「行くぞぉ!」


 サイキネルが吼える。その咆哮を第二ラウンドのゴングとするように、イゾウとシャオランも動き始めた。

 だが、その瞬間。アキハバラに鋭い叫びが木霊した。


「ちょっと待ったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 その場にいる全員の動きが止まる。中断を求める声は、これまで戦いの中で聞かない者の声だった。


「パーティーなら、俺達も混ぜてくれよ。なぁ?」

「全くだね。勝手に盛り上がっちゃって、酷いや」


 獄翼の足下。そこからひょっこりと、ふたつの影が姿を現した。ひとつはエプロンの付いた長いスカートのメイド服に身を包んだ、青髪の少女――――に、見える男だった。彼とはほんの少し前まで同じ建物の中にいた。スバルはモニター越しでその姿を認めた瞬間、彼の名を叫ぶ。


『シデンさん!』

「やあ、スバル君。助けに来たよ」


 メイド喫茶前でチラシを配っていた時と同様の笑顔を見せつつ、手を振ってきた。もう片方の手には、どういうわけか小指が届く位置にふたつ目の引き金がある銃を握っている。


『じゃあ、もうひとりは』


 視線をもうひとつの影に移動させる。だが、そこでスバルが見たのは予想とは別の姿をしていた。


「おうおうおう! どぉーした、カイトぉ! 妙にやられてるじゃねぇか。ちょっと弱くなったか!?」


 その声は紛れも無く御柳エイジのものである。間違いない。ただ、どういうわけか彼は全身黒タイツで、目の位置に穴が開いた紙袋を被っていた。


「助けに来てやったぜ。感謝しな!」

「……誰、お前」


 馴れ馴れしく肩を叩いてくる紙袋男を前に、カイトは半目でいう。いや、こいつが誰なのかはわかっているのだ。声や、隣にシデンがいることから間違いないだろう。だが、それにしたってこの格好はないんじゃないだろうか。見るからにダサい。せめて悪の戦闘員のマスクならお洒落なのだが、とカイトは思う。


「貴様、何者だ」


 予想だにしなかった乱入者を前にして、サイキネルが尋ねる。すると紙袋男は腕を組み、3人に向かって口を開く。


「俺の名はアキハバラを守る正義の味方、ダンボールマン!」


 獄翼のコックピットの中で、スバルがずっこけた。彼にはダンボール要素が微塵もない。ダンボールマンは得意げにカイトの肩を組み、告げる。


「そしてこいつは俺の親友、スター★ハゲタカ!」

「え?」


 何それ、といわんばかりにカイトがダンボールマンを見る。傷口が見えなければ、あの圧迫感も襲ってはこなかった。それゆえ、カイトは実に9年ぶりにチームメイトの目を正面から受け止めたのだが、これは一体なんの茶番なのだ。


「そしてボクがアキハバラを守るヒロイン、ジャッカルクイーン!」


 シデンがカイトの横に立ち、3人が並ぶ。カイトは困惑したままだった。


「これで丁度3対3だ。俺とジャッカルクイーンがふたり、受け持つぜ」

「待て。勝手に決めるな」

「その代り、最後のひとりはハゲタカとこの黒いロボットのセットだ。お得だろ?」

「おい」


 スター★ハゲタカにされたカイトの異論は無視された。王国からの刺客である3人は一同、顔を見合わせると無言で拳を突き出した。仁義なきシャンケン勝負である。

 乗るのかよ、この提案に。モニター越しでツッコむスバルだが、これは見方によれば好機である。


『……か、カイトさん! 兎に角、今の内に乗って!』

「いや、でもお前」

『でもも何もないでしょうが! 手が痛いなら、とっとと戻る!』


 困った表情を浮かべるカイトに、ダンボールマンが肘で小突いてきた。遠回しに行けよ、といっているらしい。


「……何のつもりだ」


 紙袋を被ったチームメイトに、カイトは言う。ダンボールマンとジャッカルクイーンは、迷うことなく答えた。


「イラついたのは事実だからさ。ちょっとした仕返し」

「その紙袋は何だ」

「お前、まだ昔のことを気にしてるようだからな。なんか被れそうなの探したら、出てきた」


 まあ、兎に角。ダンボールマンはスコップをコンクリートに突き立て、敵を見る。丁度ジャンケンが終わったようである。


「ただの偶然で再会できただけかもしれねぇけど、俺はお前の為にカツ丼を作った。せめて感想くらいは聞かせてもらわないと、帰せないわな」

「……善処する」


 そういうと、カイトは獄翼に向かって走り出した。エイジとシデンは、思わず顔を見合わせる。


「聞いたか?」

「うん、聞いた」


 にやけ笑いが止まらなかった。エイジは紙袋で表情が見えないとはいえ、多分自分と同じ顔をしてるんだろうな、とシデンは思う。


「善処するってよ。アイツにしては前向きな発言じゃねぇか!」

「じゃあ、こっちも善処するとしましょうか」


 シデンの正面にサムライモドキが。エイジの正面に白い翼を広げた女が移動する。それぞれの相手を認めると、ふたりは武器を構えた。


「おら、いくぜぇ!」


 彼らにとって、6年ぶりの戦いが始まった。当時と変わらずにカイトを含めた戦いが、幕を開けたのだ。

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