エピローグ

 セリアとコルはラトナ国へ向かう街道を歩いていた。

 コルはふわふわとセリアの周りを飛びながら話しかけた。

「なぁ、あねご。大丈夫なのか。敵国なんだろ?」

「リークラント帝国の軍隊が駐留しているでしょうね。まぁ見るだけだし、私の故郷だし」

 セリア本を読みながらコルの質問に答える。

「その国見た後はどうするんだよ」

「さぁね。たぶん何も変わらないわ。音狂いを治して世界を巡るだけ」

「あとあの王様とやらに報告して、お金も稼がなきゃな」

「そうね。ティルには――そのうち何処かできっと会えるわ。会える気しかしないもの」

「あんちゃんに会いてーな~。ついでにコロルにも」

「コロルはついでなの?」

「へんっ。どうせあねごはあの清ましたヤツのがいいって言うんだろ」

「ま、コルのその賑やかな所もいいかなって最近思う時もあるけどね」

「ホントか?」

 コルの顔がパッと明るくなって何度もセリアに聞き返した。セリアはにっこりと笑うだけで返事はせずに歩き続けた。

 セリアは本と音叉を携えて、音霊のコルと共に調律師として世界へ旅だった。



――おわり――

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シアの調律師 片喰藤火 @touka_katabami

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