第6話
「ふざけるな‼」
その翌朝、女は病の突然な悪化でころりと死んでしまっていた。朝の光が彼女の身体を照らし、病室の中には看護士以外には誰の影もなかった。
「おい神よ‼どうして!どうして彼女の命を奪ったのだ!俺の!」
俺の命をやると言ったのに!!
しかし神は遥か遠くから、使者を遣わして言った。
『それはわたしではなく、おまえのつくった鏡のせいだ』
頼む、どうか生きてくれ。
そう俺が心底願ったからだというのか。
俺は生まれてはじめて自分の命と引き換えにしても生かしてやりたい者が出来たとしても、そうしてやることは出来ないというのか⁉
何かが頬を濡らしている。
ぎちぎちと音がした。
どこで鳴っているのかと思えば、それは俺の頭の中のようだった。
やがて脳神経がぶちぶちと切れていく音だと気がついた。
意識が崩れていくのを感じる。
それは少しずつ鏡が割れていくのに似ていると思った。
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