風邪


 僕の傍で苛立ちを隠さない人が体温計の計測を終わるのを待っている。ああ相当怒ってるなあ~


時刻は夜の11時。


「優くん、どうしてこんなに熱出てるのに昨日は友達と遅くまで遊んでたのかなあ~」


「ごめんね母さん」



「優君、この前だって風邪こじらせてぎりぎりまで、ママに内緒にしてたよね!もう~」


僕は両手を合わせていつものごめんねポーズを取る。


「そんなポーズ取ってもダメなんだからね!この風邪ぐすり飲んで置きなさい!」


「うわ~これかあ、この薬苦いからいいよ~」



「駄目!また風邪こじらせたら大変だから」



「はい!あ~んして」


「いや、これくらい自分で飲めるよ」


「ダメ!前も、自分で飲むって言って、こっそりゴミ箱に捨ててたの知ってるんだからね」


「チェッバレてたか、ハハ、ゴホゴホッ」

「少し古い風邪薬だけど、こんな遅くの時間だから取り敢えずはこれ飲んで寝ていなさい」

「はいはい」


渋々、緑色のカプセルを水で飲みこむ、どうしてだか強烈な苦さが襲ってくる。

そして薬のパッケージを見ているうちに急激な眠気が襲ってくる。



 「あれ、北東アジア製薬のコールドバスターって確か販売中止になった薬だって、前ニュースで...」


 僕は意識が曖昧になり、深い眠りについてしまった。

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