第7話 本当の自分
あなたは世界の終わりを望んだ事は有りますか?
一人で部屋の中から召喚術の鏡で学校に通い、偽りの人生を送る。
時々思うのです、召喚術なんて辞めて自由になりたいと。
でも、瞑夜さんと出会って私は少し変わったのかもしれない。
紅茶に角砂糖が溶けていくような気持ち、心の中のゴツゴツしたモノが消えていく。
それは癒されると言えるのかもしれない。
私の鏡は今日も学校で瞑夜さんとたわいもない話をしています。
「先輩、体育館前の自販機に抹茶風コーラが入ったのですよ」
「私はコーラ風抹茶って聞いたけど」
「一緒に飲みに行きましょう」
「はい」
自販機の前に来ると目当ての商品を探していた。
『ドロリ濃厚抹茶ゼリー』とある。
少し迷ったが私達は自販機のボタンを押す。
「先輩、これなかなかいけますね」
確かに飲みにくいが抹茶の風味がして味は悪くない。
瞑夜さんと二人きりで飲むと胸が痛みます。
私達は何気ない日常を過ごしていた。そう、世界の終わりが来る前夜の様に静かな日々だった。
それから……。
私は校内の木漏れ日の下のベンチに座りぼんやりと空を眺めていた。揺れる葉に光もまた揺れていた。
静かだった、風の音すら聞こえないほどに。
隣には瞑夜さんが座っている。
「静かですね」
「えぇ」
「先輩、今日は勉強しないのですか?」
今日はこの光揺れるベンチの下で永遠について考えていた。
「時の魔法か……」
私が呟くと不細工猫こと自称『時』精霊が現れる。
「何だ、呼んだか?」
すっかりなつかれてしまいました。
「シータ……永遠て、あるのかな」
「何を言っている、時間軸を曲げるだけだろ」
「なんだかあなたには永遠はつまらなそうね」
「まあな」
相変わらず可愛くない。
「もうこんな時間帰らないと」
不意に腕時計を見るとかなりここにいたらしい。私はシータに冗談半分で言ってみる事にした。
「この時間を永遠にして」
「一分だけだぞ」
この不細工猫、何を言っている。
すると、木々の葉が枯れ落ち葉となりそして花が咲きまた青々とした葉がしげる。
一分で一年を過ごしたらしい。
「どうだ、永遠は見れたか?」
私はスマホを取り出し日にちを確認する。夢でも見ていたのか、何も起きていない。
「先輩、ぼっーとしてないで帰りましょう」
幻術の類かそれとも……。
時の魔法にかかったのか、シータは前足を舐めて素っ気ないでいた。
この不細工猫まるで永遠は厳しいとの皮肉を見せたのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます