第4話 アリス
教室
「アリスさん、今暇している?」
「はい?」
「召喚術の課題レポート教えて」
クラスメイトの女子である。そう、召喚術に関しては、私は頼られる事が多い。
悪い気はしないのだが、教えるのも大変である。
一階の空き教室で教える事になってしまった。
「え~と、この問題は一年生の復讐問題ね」
うん?瞑夜さんだ、丁度よい。
廊下を歩く瞑夜さんに声をかける。
「瞑夜さん、この子の課題レポート見てくれない」
「せ、先輩……」
「大丈夫、君なら出来る」
それは召喚術の発展の歴史をまとめるレポート課題であった。
一年生はまず歴史の知識が必要なのである。
私も歴史については少し疎いので助けを借りるとこにした。
『召喚術は古代ギリシャで生まれ中世ヨーロッパで発展して産業革命で科学と結ばれ……』
話し始めたのは私の召喚したデイであった。流石、私、一味違うなどと浮かれえていると。
「続きは明日にでもしよう」
そう言うとデイは鞄の中に入ってしまった。
飽きっぽい、性格は誰に似たのか。
結局三人で教科書を見ながら大苦戦の一日でした。
今日の授業の難関は体育です。
そもそも召喚術に体力は必要ないはずなのに。
何故、体育の授業があるのでしょう。
そう、私は体を動かすのが苦手なのです。
召喚アリスは私と能力が比例するので体育の授業はとても大変。
汗だくになって、やっと終わったところです。
「先輩お疲れですね」
校舎の窓から瞑夜さんが声をかけられる。
「そんなこと無いよ」
「そうですか?とても疲れているようですが」
体育が苦手なことがバレている。
「教えて上げましょうか?」
「い、ぃ、要らないわよ」
私は急いで教室に戻った。
うーん、少し複雑な思いをしたな。
教室にて腕立て伏せを試してみた。
一回も出来ない……。
たるんだ二の腕を見て、イヤ、見なかったことにしよう。
瞑夜さんは意地悪なのです。
私の苦手な数学の課題まで聞いてくるのです。
「アリスさんは何でも得意ですよね?」
せめて微積位なら何とかなるけれど確率は……。
困った私を見て
「召喚術における成功と失敗の確率の関係は分かります?」
「それは術者の経験とその時のマインドが関係してくるから数学みたいに答えは一つでないのよ。例えば上級魔族を召喚するには生贄が必要な場合あるの。だから確率では表せないの」
「流石先輩。で、数学の確率は解かりますか?」
「俺が教えてやろうか?」
鞄の中からデイがすすと出て来る。頼りになる。
デイは問題を見ると。
「黒猫だ、黒猫に頼むと良い」
そう言ってデイはすすと鞄に戻っていった。
「先輩?黒猫を召喚出来ます?」
うーん、賢い生物は召喚術でも高度なもの、私も試した事がない。
「まず、図書室に行って生物の召喚法を調べて、魔石の類の道具が必要なのでそれを先生から借りて、それから……」
「確率は自分で勉強しますね」
ま、こんな日もあるかな。
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