第3話様々な出会い

ここはパイプオルガンのある部屋、前学園長の個人的なものにより建てられた施設だ。

前学園長は、それは音楽好きでこの施設と同時にオルガン部を創設している。

私の趣味?であるオルガン、一人になりたい時はここで奏でている。

「君は何時も寂しそうに、奏でるね」

少し身長の低めの老人が声をかけてくる。

そう、この前学園長である。

私が精霊である事を知る、唯一の大人である。

「せっかくだから、シューベルトを一曲頼むよ」

私は迷った。

「心無き召喚士にリクエストはご遠慮下さい」

そう、ここだけ秘密、このオルガンの前だけは本当の私。名も無き少女でいられる。

「君らしい、答えだ。でも、少し目に光が見えるね、良い事でもあったかな」

「少し、召喚術が楽しくなっただけよ」

私はもう、一曲弾く事にした。

奏でられるオルガンの音だけで異世界の様だった。

学園長は静かに聴いていた。

それは名も無き曲、名も無き私が奏でる。

小さな想いを込めて……。

弾き終わると、一人だけの拍手が待っていた。



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