第2話 きこえる

 イライラしたように刑事が黒いファイルを音を発てて閉じたので、僕は仕方なくその方向に視線を向けた。


「お嬢ちゃん。君は何も悪くないんだから、自分の名前と住所くらいは教えてよ」


 僕の目を強く見詰めながら刑事が言う。僕は腕時計を見詰めてから、ゆっくりと視線を天井に向けた。取り調べ室に連れて来られたのが午後6時頃だったから、まだ30分くらいしか経っていない筈なのに、こんなに僕に敵意を向けるなんて刑事という人種がせっかちなのだと判断するのには充分過ぎる材料だ。


「なぁ、黙ってたら家に帰れないぞ。それとも、お嬢ちゃんも何かあの事件に関係あるのか?」


 僕は、視線を逸らしたまま首を振る。


「だったら、教えてくれよ。刑事さんはな、あの現場に居た人皆に話を聞かなくちゃいけないんだ。知ってる事を話してくれたら直ぐに帰れるんだから」


 言葉の切れ目で頷く。それでも声にはしない。佐藤と名乗った刑事の

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がんがまなんち @carifa

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