No.629.忘恋花

南向きの窓から おしみない sunlight

まぶしさに おぼろげに目を開く morning


耳に入るのは 鳥のさえずりと テレビのノイズ

マルボロを一本とりだし ジッポで火をつける

叫ぶ事のない 電話が 寂しそうに つぶやいていた

彫刻のような白い雲が とても壮大で

自分の寂しさが やけにちっぽけに見える


うまくいかない事ばかりに 振り回されて

咲き乱れる 恋の花にも 気づかない


闇のあかりから こぼれゆく moonlight

暗がりに なにげなく 目を向ける evening

肌にふれるのは 冷め切った 熱情と雨の音

スピリタス喉にながして やけつく 腹ん中


おどれない 携帯が くるしそうに悶えている

莫大な慟哭の振動に 壊されそう


自分の苦しみがやけに 散漫になった

うまくいかない事ばかりに 振り回されて

咲き乱れる 恋の花にも 気づかない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る