取材メモ⑤:初ダンジョンっす!

 神聖歴六一〇三年・皋竜こうりゅうの月第五日・天気:曇


 どもども~、今日もキラーンッと元気な白猫アイナちゃんっすよぉ~♪

 ただいま朝食作りの真っ最中っす! いやー、アタシは戦闘とかでは全然役に立たないっすからねぇ~、せめてこのぐらいはやらねばと思いまして……。


 ふふっ、こう見えて料理には意外と自信があるんっすよぉ~?

 一人暮らしで磨いた自炊力を今ここで発揮するっす!

 メニューは簡単なサラダに、干し肉と豆のスープ、焼き締めたパン。

 スープは早起きして肉を柔らかくなるまで煮込んだ手間暇かけた逸品っす!

 凄い! 野宿とは思えない出来映え!

 いやぁー、流石はアイナちゃんっすよねぇ~。自分の才能が怖い!


 結果、朝食は大好評! 以後の食事も任されることになったっす!

 ただし、リーダーさんには絶対手伝わせないことを条件に……。

 なんでも、料理が壊滅的にダメな子らしいっすよ? ふふっ、これはメモしておかねばなりませんなぁ~。


 って、ちょっ!? リーダーさん!? なぜに涙目で叩いてくるっすか!?

 やめて、やめて! アタシが裏切り者ってどういうことっす!? ノアさんたちも笑ってないで助けてくださいっす!


 そんな賑やかな朝食を終えて、移動すること数時間。

 ようやく目的のダンジョンに到着っす! いやー、割と遠かった!

 さて、このダンジョン実は最近新たに発見されたものなんっすよねぇ。だから、まだ正式名称も付いていなかったり……。

 

 今回の仕事はここの簡単な調査をすることらしいっす。具体的には第一階層ないし第二階層までのマッピング。

 言われてみれば、そんな依頼が貼られていたような? いなかったような?

 あはは~、アイナちゃんは広報担当職員っすからねぇ~。実は依頼についてあまり把握してないんっすよねぇ~。あの業務は受付の専門っすし……。

 

 支度を終えたらいよいよダンジョン内部へ。

 アイナちゃん、人生初のダンジョン進入! 無事に帰還できるっすよね?

 とか不安に思いつつ、周辺状況を確認……一応は取材っすからね。怖くても頑張らねば!


 ふむ……どうやら洞窟型のダンジョンみたいっすねぇ。内部は自生している光苔のおかげで仄かに明るいっす。これなら松明なしで楽に探索できそうっすね。


 そうして進んでいると、前方から複数の足音が!

 警戒を強め、サッと臨戦態勢をとるナメークハンターズ。

 暫くして現れたのは、赤と青の鱗を纏った三つ目の大蜥蜴!


 わぁ~、これは厄介な相手っすよ! ベネノドンっていう毒蜥蜴っす!

 前足の爪と尾先の棘に毒があるので注意っすよ!

 アイナちゃんはギルドの広報職員っすからね! ほぼ全ての魔物の特性を憶えてるすんっすよ! 魔物の出現情報とか知らせるときに役立つので!

 その言葉に頷くと、戦闘を開始するナメークハンターズ。


 数分後、大した被害もなく無事に討伐は完了。

 いやー、流石っすねぇー。よし、この調子でサクサク進むっすよぉ~!

 

 経理への申告用メモ

 特になし。

――――――――

 前日からの合計:金貨1枚、銀貨19枚、銅貨27枚


  あれ? でもこのまま奥へ進んだら今日はダンジョンで野宿することになるんじゃ……いや、まさかっすよねぇ。いくら冒険者でもそんな……。(・ω・;)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る