取材メモ④:問題はそこじゃねーっす!
神聖歴六一〇三年・皋竜の月第四日・天気:晴
ういうい♪ 今日はスッキリ元気な白猫アイナちゃんっすよぉ~!
ここ数日の活動を通してナメークハンターズさんたちとも随分打ち解け、取材は順調、順調。流石はアタシ! やればできる子っすねぇ。
さて、今日も一日頑張るっすよぉ! えいえい、おーっす!
支度を終えたら張り切って冒険者ギルドへ。
するとナメークハンターズさんたちが既に待っていたんすけど……。
あ、あれ? なぜにフルメンバー?
赤い法衣が印象的な神官サマラさんと、ギルドでも弓の名手と名高い褐色美人なルイナさんまでいるってどういうことっすか?
今日も薬草採取のはずっすよね!? なのにこの戦力は一体……。
困惑していると、ダンジョン探索へ行くことになりました! と頷くリーダーさん……え? えぇえ!?
初日に打ち合わせをした予定! 予定は!?
思わず声を上げて驚くと、冒険者に予定なんてあってないようなものなのです……って言われても困るっすよ!?
前も言ったっすけど、アイナちゃん一般人! 戦闘力は皆無なの!
ナメークのときと違って、ダンジョン探索とか絶対に無理っすからね!?
そう抗議するものの、大丈夫なのです! アイナさんより素人な少年を護衛しつつダンジョン探索をしたことがありますから! と自信満々のリーダーさん。
問題はそこじゃねぇぇっすよぉぉ! まったく、この子は!
でも、その話はなんだか面白そうっすね! 少し詳しく聞かせてほしいっす!
え? 色々と事情があって詳細は話せない?
いや、そこをなんとかお願いするっすよぉ~! ほら、これも取材っす! 冒険者ギルドの仕事だから大丈夫! 大丈夫!
でも、聞き終えてみると予想よりヤバい内容だったっす……。
えぇ……なにやってるんっすか、あの街のギルドマスター。
一歩間違えば大問題っすよぉ……これは流石に書けないかも……。
う~ん、けど惜しいネタなんっすよねぇ……色々ぼかせば大丈夫っすかね?
話をどうまとめるか悩んでいると、だからきっと大丈夫なのです! と頷くリーダーさん。いや、うん……どうあっても連れて行く気っすね、この子。
はぁ……しかたない、色々諦めて覚悟を決めるっす。
実際、貴重な経験っすからねぇ……。それにほら! ダンジョンに潜ったことのあるギルド職員ってなんだか格好良さげじゃないっすか!
今後の仕事に活かせると思えば……うぅ、でもやっぱり少し怖いっす。
なんて思いながら準備を終えたら、ダンジョンへ。
ただ、目的地に着くまで一日かかるので実際の探索は明日からになるとか……。
はぁ……つまり今夜から野宿っすか、ツラい。
暗い顔をしていると、ご飯は美味しいですよ! 楽しみにしていてください! ってリーダーさん。だから問題はそこじゃないんっすよぉ。
あ、ちなみに移動は凄く楽だったすよ!
アイナちゃん、ケルピーとか初めて乗ったっす!
経理への申告用メモ
銀貨:4枚(野宿セットなど:用途・ダンジョン探索取材のため)
――――――――
前日からの合計:金貨1枚、銀貨19枚、銅貨27枚
う~ん……これ本当に経費で落ちるっすか? いや、大丈夫っすよ! 半分以上は真っ当な経費っすし! バレない、バレない! ٩(๑❛ʚ❛๑)۶
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