363日目:とても高い買い物です!

 神聖歴六一〇三年・月兎の月第一一日・天気:曇


 うぅ……深夜まで考え事をしていたら、そのまま机で寝てしまい首が痛いです。

 でも、夜遅くまで頑張ったので、商業ギルドの件はなんとか目処が付きました。


 というわけで朝食後、冒険者ギルドへ行く皆と別れて目的の場所へ……。

 私だけ今日も仕事を休む理由を訊かれましたが、そこは上手く誤魔化しました。

 例のモノがちゃんと手に入るか分からないので、もう少しだけ皆には秘密です。


 なんて考えている間に、目的地へ到着しました。

 王都東区・第二商業地域……そこに店を構える猫又商会王都支店です!

 ここなら商業ギルドのように軽んじられることもありません……。

 ただ、支店長のグリさん頼ると後々厄介な仕事を回されそうで少し不安です。


 そんな心配をしつつ受付で用件を伝えると数分後、応接室へ案内されます。

 部屋に入ると、灰色のケット・シーがソファーに座り待っていました。

 あぁ……やっぱり対応はグリさんですよね……分かっていましたけど。

 さて、彼とこうして話すのもこれで三度目……緊張しますが頑張りましょう!


 そう意気込んでいると、私が口を開くより先に話しかけてくるグリさん。

 セーヴェル遺跡ダンジョン表層部の攻略おめでとうございますって……え?

 待って、待ってください……なぜグリさんがそれを知っているんですか!?

 突然の言葉に戸惑う私とは対照的に、どこか楽しげな表情を浮かべるグリさん。

 そして、用件は昨日の商業ギルドでの一件ですね? と核心を衝いてきます。

 これは一体どこまで情報を把握されているのか……やっぱり商人は恐いです!


 とか戦慄していると、それでどのような物件をお探しですか? とグリさん。

 !? やっぱり全部ばれています! でも、お陰で話が早そうですね……。


 えっと、実はパーティの皆で暮らすパーティハウスの購入を考えているのです。

 お金も貯まったので、そろそろ宿ではなくしっかりした拠点が欲しいなって……。

 それに冒険から戻った時、自分たちの家があるとやっぱり嬉しいと思うんです。

 なにがあっても皆が安心して帰ってこられる場所……そんな家が欲しいんです。


 って……うわぁ……なんだか私とても恥かしいことを言いませんでしたか!?

 うぅ……顔が、顔が熱いです……グリさんも黙ってないで何か言ってください!

 すると、でしたらこちらの物件はどうですか? ととある物件を勧められます。


 わぁ……意外と大きくて広いですね……。あ、庭なんかもあります!

 お風呂も完備で、さらに各種家具まで付いていてすぐに暮らせそうです。

 お値段は……うっ、高いですね。でも、凄い掘り出し物な気がします……。

 う~ん……と、とりあえず保留で! この価格はすぐには決められません。


 そんなわけで明日、物件を見せてもらうことになりました。

 その時はノアさん達も連れていく予定です。だって皆で暮らす家ですからね!


 今日の収支

 銀貨:+5枚(ノアさん達の依頼報酬)

 金貨:-2枚(宿泊費×7+ソシオ)(食事☆☆☆、寝床☆☆☆)

 ――――――――

 残金:金貨222枚、銀貨78枚、銅貨20枚


 ('-'*)フフ どんな家か今から楽しみです……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る