359日目:王都への帰還。
神聖歴六一〇三年・月兎の月第七日・天気:曇
明け方、見張りを交代し岩陰で仮眠しているとノアさんにそっと起こされます。
この時間はノアさんとルイナさんが見張り役でしたね……何かありましたか?
そう尋ねると、あまりよくない状況かもしれない、と表情を曇らせるノアさん。
その言葉に驚きながら、ノアさんに促されるまま見張り場所である岩の上へ。
すると、岩の頂上ではルイナさんが西の地平線をジッと睨んでいました……。
私が登ってきたことに気が付くと、無言で西の彼方を指差すルイナさん。
けれど、彼女が指し示す先へ視線を向けても、私にはなにも見えません。
異変が分からず困惑していると、あの小さな岩をよく見て、と教えられます。
言われるまま地平線上の点のような岩を見続けると……む? 動いた?
……うん。微かですが確かにゆらゆらと左右に揺れ動いていますね。
確認を終えると、あれって昨日の奴じゃないかな? とノアさん。
ふむ……上手く逃げたつもりでしたが、どこかで見つかったのかもしれません。
だとしたら、まだ距離がある今の内にここから移動した方がいいですね……。
もう雨が止んでしまって、私達の臭いや足取りを消す手段がありませんから。
というわけで、まだ薄暗い中、皆を起こして移動を開始します。
ほら! ニコさんにルルちゃん! 寝惚けてないでしっかりしてください!
急がないと追いつかれますよ! 蛇系の魔物って意外と足が早いんですから!
それから数時間、休まず歩いていると前から三台の馬車が向かって来ます。
……これは停めたほうがいいですね。このまま進むとアレに鉢合わせます。
しかし、私が動くより先に馬車は速度を緩め、ゆっくりと停車しました……。
それに戸惑っていると、声を掛けてくる御者台の男性。
近くで大蛇の魔物を見なかったかって、よく見ると男性は冒険者さんです!
なるほど……この三台の馬車はアレの討伐部隊というわけですか……。
でも、これだけの人数が派遣されるとか、やっぱり逃げて正解でしたね。
その後、昨日と今日の目撃情報を話し、私達は一行と別れました。
ふぅ……これであの冒険者集団が倒してくれれば安全に進めますね。
けど、なにが起こるか分かりませんし休まず先を急ぎましょう。
はぁ……でも、朝から何も食べてないのでお腹がすきました……。
そうして夕方。ついに、ついに王都へ帰ってきました!
実に三十五日ぶりの王都ですよ! うぅ……ここまで長い道のりでした。
よし! 今日は帰還のお祝です! 高級宿屋でパーっとやりましょう!
冒険者ギルドへの報告なんて、明日でも大丈夫です!
さて、どこの宿に泊まりましょうか? 色々あって迷ってしまいます。
……と、その前に近くの大衆浴場で体を綺麗に洗いましょう。
なんだか街の人々の視線が少し痛いです……そんなに汚れていますかね?
まぁ、何はともあれ、全員無事に王都へ帰ってこられて良かったです!
今日の収支
銅貨:-14枚(浴場代×7 割り増し)
金貨:-2枚(宿泊費×7+ソシオ)(食事☆☆☆、寝床☆☆☆)
――――――――
残金:金貨11枚、銀貨38枚、銅貨20枚
古い金貨10枚
('-'*)フフ 今晩はふかふかベッドで熟睡です!
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