358日目:王都への帰路……。
神聖歴六一〇三年・月兎の月第六日・天気:雨
まどろんでいると微かに聞えてくる雨音……それに誘われ私は目を覚まします。
あぁ……そうか。セーヴェル遺跡ダンジョンからは無事に脱出したんでしたね。
魔物との戦闘や数々の罠をくぐり抜け、表層部の主を倒して戻ってきたんです。
でも、本当によく全員無事でしたね……一晩たった今でも少し信じられません。
そんなことを寝惚けた頭で思っていると、テントの外からノアさんの呼ぶ声が。
ふむ……どうやら朝ご飯ができたみたいです。早く着替えて食べに行かないと。
今朝の献立はなんでしょうね? あぁ……考えると凄くお腹が空いてきました。
ふふっ、魔物や罠に脅えることなく食事ができるってなんて幸せなんでしょう。
……よし、お着替え終了! 装備もバッチリ! 美味しいご飯を食べましょう!
そうして朝食を食べ終えたら、王都へ向けて出発します。
雨のせいで足元は悪いですが、順調に進めば明日の昼頃には到着する予定です。
はぁ……それにしても約一ヵ月ぶりの王都ですか……皆、元気にしてますかね?
もし忘れられていたらどうしましょう? ……流石に大丈夫ですよね?
とか、つまらない心配をしていると、進行方向から何かが向かって来ます……。
ただ、雨で視界が悪くまだ少し距離もあるので、その正体までは分かりません。
う~ん……なんでしょうね? どうも人ではないような感じがしますけど……。
……よし、全員戦闘準備です! こちらからは近寄らずに迎え撃ちますよ!
しかし数分後、正体不明の影は進路を変え、明後日の方向へ去っていきました。
……ふむ。この雨のお陰でしょうか? こちらには気が付かなかったみたいです。
さて、移動を再開しましょう……でも、周囲の警戒は怠らないように!
先程のアレが引き返して来て、背後から襲われる可能性もありますからね!
そう指示を出しながら、先程の影がいた辺りまで進むと、そこには――。
ぬかるんだ地面に太く長い巨大な何かが這ったような跡がありました。
……これは助かりましたね。どうやら蛇系の魔物だったようです。
地面にできた溝の深さと横幅から察するにかなりの大物です。
よし……雨が降っている内に急いでここから遠くへ離れましょう!
今ならこの雨が私達の臭いや足跡を上手く消してくれるはずです!
それから私達は休むことなくひたすら歩き続けました……。
そして、辺りが暗くなり始めた頃、野宿に良さそうな場所を見つけました。
巨大な岩と岩が支え合うように重なってできた大きな隙間です……。
ここなら雨をしのげて、荒野の真ん中にテントを張るより目立ちません。
あと、岩の上に登れば周囲の見張りもバッチリです。
その後、野宿の準備を整え、雨で冷えた体をゆっくりと休めます。
あ、岩の上での見張り役はルイナさんが進んで引き受けてくれました。
まだ雨が降っていて寒いのに……ありがとうございます。
……でも、やっぱり後でちゃんと交代しましょう。
任せきりはいけませんからね……協力してこその仲間です。
今日の収支
特になし
――――――――
残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚
古い金貨10枚
(*'-'*) とりあえず順調に進んでいます。
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