354日目:サマラさんは悪魔がお嫌い。
神聖歴六一〇三年・月兎の月第二日・天気:―
現在、セーヴェル遺跡ダンジョンの出口を目指し第五階層を移動中です。
ただ、ノアさんの体調に配慮して歩調は普段より随分とゆっくりしています。
ノアさんはもう大丈夫だと言い張りますが、やっぱり心配ですからね……。
なので、本当はソシオにも乗ってほしいんですが、頑なに拒否されました。
あ、ソシオは落ち込まなくていいですよ? ノアさんが意地っ張りなだけです。
……さて置き、そんな感じで第五階層を進んでいます。
でも、第六階層以降と比べると、第五階層は本当に楽ですね。
通路は綺麗に舗装され、天井にはマナ結晶を利用した多数の光源。
ほとんど洞窟のようだった第六階層以降とは色々と雲泥の差です。
……この分だと今の歩調でも今日中に第五階層を突破できるかもしれませんね。
もう既に探索は終えた階層なので、罠の配置や魔物の種類も把握していますし。
ふふっ……あとはそれらを避けながら最短経路を進むだけの簡単なお仕事です。
なんて軽く考えていると、通路の奥からバサバサと大きな羽音が……。
……この音、第四階層を探索していた時に聞いたことがありますね。
恐らくこの先に悪戯好きの低級悪魔・インプが潜んでいるんでしょう。
よし……また罠を勝手に起動されても面倒ですし手早く倒しますよ!
というわけで、私は右目の眼帯を外すとサマラさんと通路の奥へ。
インプは普段から魔術で姿を隠していますが、私の右目にはなぜか見破れます。
なので、私が先行してインプを発見……その後、サマラさんが討伐する作戦です。
そうして周囲を警戒しながら慎進んでいくと……いました。やはりインプです。
通路の分岐点で二匹のインプがニヤニヤと笑って何かを話し合っています。
その様子を覗っていると、どんな感じなのかな? とサマラさん。
はぁ……どうしてそんなに嬉しそうなんですか? まぁ、いいですけど……。
そう心の中で溜め息をつき状況を伝えると、一段と目を輝かせるサマラさん。
……うん、もう指摘するのは止めましょう……可哀想なインプ達です。
恨むならこんな神官と遭遇した、自分たちの運のなさを恨んでください。
さて、インプが油断している隙にニコさん製の聖水を投げつけましょう。
聖水を浴びれば、インプ達は姿隠しの魔術が使えなくなりますからね!
数分後、聖水を浴びて苦しむインプをサマラさんは笑顔でボコボコに……。
なんでしょう……この姿は絶対に神官として間違っていますよね。
あ、もしかしてサマラさんが冒険者になった理由って悪魔を殴れるからとか?
……って、そんなわけはないですよね……うん、きっと勘違いです!
さてと、インプの素材を回収して皆のところへ戻りましょう!
だから、だからですね、サマラさん……もうインプを殴るのは止めましょう?
それ以上殴ると素材が……あ、いえ、なんでもありません……。
うぅ……サマラさんはたまにノアさんよりも怖いです……。
今日の収支
インプの各種素材(一部破損)×2
――――――――
残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚
古い金貨10枚
( p_q)エ-ン サマラさん容赦がなさすぎです……。
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