353日目:月が変わってもダンジョンです。

 神聖歴六一〇三年・月兎の月第一日・天気:―


 セーヴェル遺跡ダンジョンに潜ってから今日で二十八日目。

 いつの間にか月も変わり、もう月兎の月になってしまいました……。

 まさかダンジョン探索がこれほど長期化するとは思いませんでしたね。

 でも、それもあと少しで終わります……残りは五階層……頑張ります!


 と意気込むものの、私達は未だに第五階層大広間に留まっています。

 なぜかというと、ノアさんがまだ目を覚ましてくれないんです……。

 少し心配ですね……でも、ニコさん? お薬は使わなくて大丈夫ですよ?

 なので、怪しげな小瓶を持ってノアさんにそっと近付くのはやめなさい!


 それから数時間後……ようやくノアさんが目を覚まします。

 やりました……私はニコさんの魔の手からノアさんを守り抜きましたよ!

 って、そんなことよりノアさんです。大丈夫ですか? 気分はどうです?

 近寄りそう尋ねると、大丈夫、心配させてごめんね、と小声で謝るノアさん。

 もう……気にしないでください。ノアさんのお陰で皆が助かったんですから!

 そう言うと嬉しそうに微笑むノアさん……目が覚めて本当に良かったです!


 しかし、そう喜んだのも束の間、大広間へ続く通路から嫌な音が響いてきます。

 ガリガリ、ガリと重たくて硬い物を引き摺り歩くような酷く耳障りで不快な音。

 ……ふむ、これは恐らく赤帽子・レッドキャップですね。また厄介な魔物です。

 はぁ……面倒ですが戦闘準備です! 大広間へやってくる前に討伐しますよ!

 あ、ノアさんは休んでいてください……心配しなくても私達だけで大丈夫です!


 不安げなノアさんをそう言って説得し、私達は赤帽子の討伐へ向かいます。

 因みに今回の討伐メンバーも私とルルちゃん、サマラさん、ルイナさんです。

 ニコさんとソシオはノアさんと一緒に大広間に残ってもらいました。


 そうして通路を進んでいくと……いました。予想通り赤帽子です!

 数は……三体!? え、流石にその数をこの人数では無謀な気が……。

 予想外の事態に慌てていると、大丈夫……任せて、とサマラさん。

 すると次の瞬間、複数の障壁で赤帽子をそれぞれ囲み、孤立させます。

 !! 昨日のあの作戦をもう応用するとか、凄いですねサマラさん!

 よし! 障壁で分断されている間に、各個撃破です! いきますよ!


 数十分後……無事に赤帽子の討伐が完了しました。

 ふむ……今までで一番安全になおかつ簡単に倒せた気がします!

 これなら残りの五階層も楽に進むことができそうですね!

 さてと、赤帽子の素材を回収したら大広間に戻りましょう。

 赤帽子の素材ぐらいなら兎リュックに入りますからね、しっかり回収です。


 その後、大広間へ戻るとノアさんが心配そうに待っていました。

 ただいまです! 全員無事に戻りましたよ!

 そう言うと、おかえりなさい、と微笑み頭を撫でてくれるノアさん。

 もう……子供扱いしないでください……でも、なんだか嬉しいです。


 さて、明日からはダンジョンの出口を目指して移動を再開しますよ!


 今日の収支

 赤帽子の各種素材×3

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚

     古い金貨10枚


 ('-'*) ノアさんが元気になって良かったです♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る