352日目:厄介な組み合わせ……。

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第三一日・天気:―


 昨日からセーヴェル遺跡ダンジョン第五階層大広間で休息をとっています。

 まだまだ先は長いですからね。休める時にはしっかり休んでおかないと……。

 なんて思いながら、部屋の隅で横になっているノアさんへ視線を向けます。


 ……実はノアさん、大広間に着いてからずっと眠り続けているんです。

 診察したサマラさんによると、マナを一気に消費した反動だとか……。

 なんでも浮遊系の魔術は生き物へ使うと通常の数倍マナを消費するそうです。

 ノアさん、私達を罠から助けるために相当な無理をしてくれたんですね……。


 はぁ……でも、思い返すと私はノアさんに頼り過ぎている気がします。

 今回のことだってそうです……ノアさんがいなければ今頃は皆……。

 ……うん、なんだか自分の無力さに段々と腹が立ってきました。

 やっぱりこのままじゃダメですね……もっともっと強くならないと!

 そして、いつかノアさんが頼ってくれるような冒険者になるんです!


 そう決意を新たにしていると、大広間に続く通路の奥からあの音が……。

 ヌチャヌチャ、ズルズル……なんとも不快なナメーク達の足音です!

 もう……こんな時ぐらいは空気を読んでくれませんかね、ナメーク達。

 ……まぁ、無理ですよねナメークですし。さてと、皆! 戦闘準備です!


 というわけで、ナメークが姿を現す前にこちらから打って出ます。

 ノアさんがまだ寝ているので、大広間へは近付けたくありませんからね。

 あ、戦闘に参加するのは私、ルルちゃん、ルイナさん、サマラさんです。

 ニコさんにはノアさんのことをお願いして大広間に残ってもらいました。


 そうして暫く通路を進んでいると……いました、やっぱりナメークです!

 数はシャルナメークが四匹とアロウナメークが三匹の計七匹。

 くっ……これは第九階層でかなり苦戦した厄介な組み合わせです。

 でも、頑張るしかありませんね……いきますよ! 戦闘開始です!


 しかし数分後、戦況は予想通り膠着します。第九階層の悪夢再び、です!

 こちらの遠距離からの攻撃は全てシェルナメークに防がれまるで届きません。

 かと言って、接近しようにもアロウナメークの攻撃に阻まれ近付くのは困難。

 う~ん……ニコさんがいないので爆薬も使えませんし……困りましたね。


 ……あ! 閃きました! これは久々の名案かもしれません!

 サマラさん、シェルナメークとアロウナメークの間に障壁を展開してください!

 あの二種類を前後で分断するんです! そうすれば近接戦闘が可能になります!

 そう指示を出すと、なるほどね! と驚いた様子で声を上げるサマラさん。

 神術の障壁は本来、防御目的でしか使いませんからね……当然の反応です。


 その後、作戦通り攻撃の隙を突き、ナメークの分断に成功。

 各個撃破を行い、私達は勝利を掴むことができました。

 さて、ノアさんとニコさんが待つ大広間へ撤収しますよ!

 

 ノアさんの目が覚めるまで、もう少しあそこで休みましょう。


 今日の収支

 特になし(ノアさん不在のため素材回収を断念)

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚

     古い金貨10枚


 (*'-'*) 四人だけでも頑張ったのです!

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