348日目:財宝ですか……?
神聖歴六一〇三年・
セーヴェル遺跡ダンジョンの探索を開始して今日で二十三日目。
現在、第十階層大広間で発見した鍵穴とその下に刻まれた文字を調査中です。
ふふっ……この鍵を開けたらなにが出てくるんでしょう? 凄く楽しみです!
それから数時間後、ニコさんによる鍵穴と文字の調査が完了しました。
……お疲れ様です。昨日から一睡もしていませんけど大丈夫ですか?
少し心配になってそう尋ねると、問題ありません、と頷くニコさん。
そして、欠伸をしつつ懐から小瓶を取り出し、中身を一気に飲み干します。
問題ないってそういう意味ですか!? はぁ……油断するとすぐこれです。
毎回取り上げているのに、いつの間にか禁止したお薬を持ち歩いています。
はぁ……王都へ無事に戻ったらまた持ち物検査をしないといけませんね。
怪しいモノや禁止したお薬を持っていたら、確実に回収しないと……。
なんて決意を密かに固めつつ、ニコさんから調査結果を説明してもらいます。
それによると、解錠するには鍵にマナを通しながら回す必要があるんだとか。
……なるほど。だから私が回しても右にも左にも全く動かなかったんですね。
でも、これならノアさんに頼めばバッチリです! よろしくお願いしますね!
そう言って例の鍵をノアさんに渡すと、左に回してくださいね、とニコさん。
なんでも間違って右に回すと、なにかしらの危険な罠が起動するそうです。
その辺のこともあの刻まれた文字に暗号化して記されていたんだとか……。
ふむ……暗号解読の手掛かりをくれたギルドの眼帯お姉さんには感謝ですね。
もしもこれで財宝が見つかったら、お礼に美味しいお酒でも贈りましょう。
そんなことを考えつつ、ノアさんが鍵を回すのを静かに見守ります……。
そうしてノアさんが壁の鍵穴に鍵を差し込み、力を込めると……回りました!
と、喜んだ次の瞬間、激しい震動とともに鍵穴を中心に左右へ動き始める壁。
揺れが収まると、先程まで壁があったその先に小さな部屋が姿を現します。
……隠し部屋! これは本当に財宝があるかもです! 急いで調べましょう!
初めての体験にワクワクしながら隠し部屋の中を見渡すと……。
あぁ!? ありました! ありましたよ! 部屋の隅に小さな木箱が!
しかも、丸みを帯びたあの独特な形状をした蓋は間違いなく宝箱です!
ふふふっ……やりました! 冒険者になって初めて財宝を見つけましたよ!
その後、隠し部屋から宝箱を大広間に移動させ、早速中身を確認します。
すると中には……古い金貨が十枚だけ虚しく散らばっていました……。
運ぶ時に意外と軽かったのでもしやと思いましたが……やられました。
この隠し部屋は既に別の冒険者が発見したあとだったみたいです……。
はぁ……残念ですが仕方ありませんね……。
よく聞く話ですし、今回は運がなかったと諦めましょう。
……よし! 気を取り直して王都へ帰りますよ!
悔しいですが、くよくよしないで前に進まないと!
今日の収支
古い金貨10枚
――――――――
残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚
古い金貨10枚
(ノ_-;)ハア… 少しだけ期待していたのに……。
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