347日目:大広間の鍵穴。

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第二六日・天気:―


 王都へ帰還するために、今日から地上を目指してダンジョンを引き返します。

 セーヴェル遺跡ダンジョンの探索を始めて二十二日目……いよいよ撤収です!

 はぁ……でも、ダンジョン探索がこれほど長期化するとは予想外でしたね……。

 次回からはもっと綿密な計画を立てて挑戦しないと……頑張ります!


 というわけで、出口を目指しダンジョンを進むわけですが……。

 その前に、今いる第十階層大広間でまだやることが残っています。

 ……実は昨日、ここで休んでいると壁に小さな鍵穴を見つけたんです。

 そして、その鍵穴へ試しに例の鍵を差し込むと、なんとピッタリでした!


 で、昨日はそこまで調べて、それ以上は調査しなかったんです……。

 あのまま鍵を回して、もしも魔物とかが現れたら大惨事ですからね。

 皆の体力が十分回復するまで、なにもせずに我慢していました……。

 けど、一晩休んだ今ならそんな心配もいりません。回してみましょう!


 皆の了解を得たら、再び鍵を鍵穴へ差し込みます……。

 そして、財宝が出てくることを願いつつ鍵を回すと……って、あれ?

 おかしいですね……右にも左にもまったく動きません。なぜですか!?


 困惑しながら鍵をガチャガチャしていると、あ! と声を上げるニコさん。

 うん? どうしたんですか、ニコさん? なにか気が付きましたか?

 そう尋ねると、ニコさんは鍵穴のある壁の下、私の足元を指差します。


 視線を向けると、そこにはなにやら薄らと文字が刻まれているようでした。

 昨日は暗くて見落としていたみたいです……なんて書いてあるんでしょう?

 ……もしかして鍵を回す方法が記されていたりしませんかね?


 そんな淡い期待を抱きながら、ニコさんに文字を調べてもらいますが……。

 数分後、ニコさんは肩を竦めながらお手上げの表情で首を横に振ります。

 詳しく話を聞くと、鍵について書かれていることは間違いないと、ニコさん。

 ただ暗号化されていて、それ以上の解読は手掛かりなしだと難しいそうです。


 ……手掛かりですか。第十階層を探索すればなにか見つかるでしょうか?

 でも、この階層を探索する余裕は食料的になかなか厳しいモノがあります。

 あと、下手に動きまわって厄介な魔物に襲われでもしたら大変ですし……。

 う~ん……どうしましょう? このまま諦めるのは少し悔しいです……。


 そうして暫く悩んでいると、ふとある事を思い出します。

 ……それはギルドの眼帯お姉さんに餞別として貰った、あの羊皮紙です。

 アレにもなにやら文字のようなものが沢山記されていました……。

 ひょっとして足元に刻まれた文字となにか関系はないでしょか?


 そう思い、ニコさんに羊皮紙を渡すと驚いた様子で目を瞬かせます。

 暫し食い入るように羊皮紙を見つめ、いけるかもしれません、とニコさん。

 本当ですか!? なら大至急でお願いします!


 ふふっ……あの鍵の謎がいよいよ解けるかもです!

 ……なにか財宝が手に入ると嬉しいですね!

 

 今日の収支

 とくになし

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚


 。('-'。)(。'-')。ワクワク 財宝、財宝、財宝です!

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