346日目:帰るまでがダンジョン探索!

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第二五日・天気:―


 眠りから覚め、最初に目にしたのは笑顔で私を見つめるニコさんの姿でした。

 ……って、ちょっと待ちなさい! その手に持った小瓶は一体なんですか!?

 ノアさん! ノアさん! 緊急事態です! 早くニコさんを止めてください!

 セーヴェル遺跡ダンジョンに潜って二十一日目……仲間の手で大ピンチです!


 数分後……どうにかニコさんの魔の手から救出されました。

 油断していたらすぐコレです。危うくお薬の実験台にされるところでした。

 ある意味、昨日のキングシェルナメーク討伐戦より危なかった気がします。

 ニコさん? 不満そうですが本当にお薬はいりません! 私は大丈夫です!


 そんな会話をしつつ、私はノアさんに支えられゆっくり起き上がります。

 むぅ……体が凄く重いです。恐らく黒竜の小剣を使った反動でしょうね。

 もし、ノアさんのマナ供給なしに使用していたら今頃どうなっていたか……。

 うぅ……考えるだけで恐ろしいです。やっぱり多用するのは控えましょう。

 しかし、そう思った瞬間、黒竜の小剣が拗ねるように微かに震えます。

 

 うん、とりあえず無視です。それより今は現状確認をしないといけません。

 そう思い大広間を見渡すと、あの見知らぬ冒険者さん達が駆け寄ってきます。

 そして、私の前に立つと口々に感謝の言葉を述べ、頭を下げる冒険者さん達。

 

 その後、話をすると彼らはリコルヌという冒険者パーティの方々でした。

 冒険者ランクは全員がCランク。主に王都北区で活動しているそうです。

 道理で見覚えがないと思いました。北区は行ったことがありませんからね。

 

 あ、私達のパーティ名を教えると驚きながら物凄く納得されました。

 だからあれほど手慣れていたんですね! ってなにか誤解していませんか!?

 うぅ……パーティ名がまた変な方向で有名になりそうな嫌な予感がします。


 そうして話を終えると、彼らは第十一階層へと下りていきました。

 なんでも、依頼で第十三階層以降に現れる魔物の素材が必要なんだとか。

 ……大変なお仕事ですね。全員が無事に帰還できることを心から祈ります。


 そうそう、キングシェルナメークの素材ですが全て譲ってくれました。

 自分たちでは歯が立たなかったし、止めを刺したのも私達だからと……。

 それと第十階層から第六階層までの安全な最短ルートも教えてもらいました。

 助けたお礼ということですが、リコルヌの冒険者さん達いい人過ぎます。

 ふむ……これは王都で再会したらなにかお返しをしないといけませんね。


 さて、そんなこんなんで第十階層大広間の攻略がどうにか終了しました。

 でも、まだまだダンジョン探索が終わったわけではありません……。

 帰りの十階層が残っているんですよね……あぁ、気が遠くなりそうです。


 なので、今日まではこの大広間で休憩していきます。

 明日からの探索に備えてしっかり体力を回復させないと……。

 って、だからニコさん? それでもお薬は必要ありません!

 疲労回復薬とか言い張っても絶対に信じませんからね!?


 今日の収支

 (キングシェルナメークの素材)

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚


 (*'-'*) あとは帰るだけです!

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