343日目:災い転じて……?
神聖歴六一〇三年・
セーヴェル遺跡ダンジョンの探索を始めて十八日目。状況は芳しくありません。
一昨日落ちた落とし穴から、昨日どうにか脱出したまでは良かったんです。
けれど、あのあと周囲を調査した結果、恐ろしい事実が発覚しました……。
信じたくはありませんが、どうやら今いる階層は第十一階層みたいなんです。
はぁ……かなり下まで落ちた感じはしましたが、まさかこんな下層だなんて。
……でも、改めて思いますが、本当によく無事に助かりましたね、私達。
だて、第六階層から落ちたので五階層分も落下したことになるんですよ?
それなのにこうやって探索を続けられるのは奇跡と言うしかありません。
ただ、その奇跡を起こしたのがキングナメークとは誰にも言えない秘密です。
さて置き、そんな状況なので急いで上に、第十階層に戻らないといけません。
第十一階層と第十階層ではたった一階層の差ですが、難度が全く異なります。
どれくらい違うかというと、ここではあの強敵だった赤帽子が雑魚扱いです。
加えて罠もより巧妙に隠されていて、すぐにはそれと分からなくなりました。
あとはダンジョンの構造も問題ですね……。
通路の造りは第六階層と同じく洞窟のような感じです。そこは変わりません。
ただ、唯一の光源だった光苔がなくなり、今は松明で明りを確保しています。
……ゴツゴツと足場の悪い通路を松明片手に、罠や魔物に注意しながら進む。
正直、最悪の状況です……でも、今は希望を捨てずに前を向いて歩かないと。
大丈夫……あの罠にかかって生きていたんです……きっと無事に帰れます!
皆でそう信じ、励まし合いながら第十一階層を彷徨うこと数時間。
……ありました……ありましたよ! 第十階層へ上る階段です!
魔物から身を隠し、多くの罠を掻い潜ってようやく到着しました!
途中挫けそうにもなりましたが、諦めなくて本当に良かったです。
しかし、階段を上り切った瞬間、私は言葉を失います。
階段の頂上……第十階層へ続く入口は巨大な鉄の扉に閉ざされていました。
あぁ、私はバカです……嬉しくてこの部屋の存在をすっかり忘れていました。
この先は表層部・第十階層と上層部・第十一階層を隔てる関門です……。
つまり、この先には第三階層のようになにかしらの魔物が待ち構えています。
突破できるでしょうか? 第三階層の大百足ガーゴイルでさえ苦戦したのに。
……はぁ。でも、やるしかありませんね。ここ以外に道はないんですから。
それに目標だった表層部攻略は、この先の魔物を倒す必要がありました。
だとすると、これは千載一遇の好機です……災い転じて福です!
だって、一昨日はもう表層部攻略を諦めて撤退するつもりだったんですから。
……よし、頑張りましょう! ここを突破して地上へ戻れば表層部攻略です!
ですが、その前に今日はもう休みしましょう。
ここまで来るのにだいぶ疲れました……流石に今から戦闘は無謀です。
……決戦は明日……なんとしても攻略しますよ!
今日の収支
特になし
――――――――
残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚
('-'*)フフ まさかの展開です……頑張ります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます