335日目:毒のアイツを探して!
神聖歴六一〇三年・
現在、セーヴェル遺跡ダンジョン第三階層でポイズンナメークを探しています。
ニコさん曰く、それを素材に大百足のガーゴイルを倒す薬品が作れるとか……。
けど、本当に効果があるんですかね? 魔術や神術を受けても無傷だったのに。
もう他に手段がないのは事実ですが、今更ながら少し不安になってきました。
それに加えて今回のこの作戦には、一つ大きな問題が存在しています……。
実はこのダンジョンでポイズンナメークが出現するのは中層以降なんです。
なので、本来なら第三階層をどんなに探しても見つかるはずがありません。
でも、思い出してください……私達は第二階層で一度だけ遭遇しています。
そう……ニコさんが間違ってかかった罠の仕掛けの中にいたんです……。
というわけで今、私達は罠を起動させながら第三階層を慎重に進んでいます。
うぅ……どうしてこんなことに……正気とは思えませんよ、この作戦……。
ニコさん……嬉しそうですが、必要ない罠まで動かしたりしないでくださいよ?
そう祈りつつ作業を見守っていると、あ……、と小さな悲鳴を上げるニコさん。
次の瞬間、通路全体が大きく揺れ、左右の壁が中央に向かって動き始めます。
ニコさん、やらかしましたね!? 全員急いで退避です! 押し潰されますよ!
数分後、どうにか無事に罠から脱出できました。
もう……ニコさんはもう少し慎重にやってください。死ぬかと思いました。
って、言ってるそばからまた罠を調べてる! もう! 少しは反省しなさい!
思わず声を上げると、それに驚き手元を狂わせるニコさん。
あ……、と気が付いた時にはもう遅く、起動する罠……。
そうして真上の天井が開くと、ベチャッとなにかが通路に落下してきます。
ヌラヌラとした大型犬ほどの大きさの不気味な紫色の塊。
グニャグニャと動くその中心には三本の触角らしきもの。
やりました! 大当たりです! ポイズンナメークですよ!
しかも一匹だけ! これなら慌てなければ安全に対処できます!
まずは全員ゆっくり離れてください! 急に動かないように!
ポイズンナメークは驚かせると、毒を飛ばしてくることがありますから……。
そして、十分離れたらノアさんは氷雪系の魔術で攻撃をお願いします!
今回は素材が必要ですからね……前回のように燃やすのはナシです。
暫くすると、ノアさんの魔術を受けたポイズンナメークはカチコチの氷に。
今度はそれをハンマーで割り、細かくなった氷を革袋に詰めていきます。
この時、素手で触ってはいけません……この状態でも危険ですからね。
……よし、どうにか全ての氷を革袋に詰め終わりました。
あとは氷が溶けだす前に、ニコさんに処理してもらないと……。
大変な作業だと思いますが、よろしくお願いしますね……。
そう言って革袋を渡すと、任せてください、と小さな胸を張るニコさん。
……こういう時は頼りになるんですけどね……まったく。
さて、薬品が完成すれば明日はいよいよ決戦です! 頑張ります!
今日の収支
(ポイズンナメーク×1)
――――――――
残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚
(_ _;)…パタリ とても疲れました……。
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