335日目:毒のアイツを探して!

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第一四日・天気:―


 現在、セーヴェル遺跡ダンジョン第三階層でポイズンナメークを探しています。

 ニコさん曰く、それを素材に大百足のガーゴイルを倒す薬品が作れるとか……。

 

 けど、本当に効果があるんですかね? 魔術や神術を受けても無傷だったのに。

 もう他に手段がないのは事実ですが、今更ながら少し不安になってきました。

 それに加えて今回のこの作戦には、一つ大きな問題が存在しています……。


 実はこのダンジョンでポイズンナメークが出現するのは中層以降なんです。

 なので、本来なら第三階層をどんなに探しても見つかるはずがありません。

 でも、思い出してください……私達は第二階層で一度だけ遭遇しています。

 そう……ニコさんが間違ってかかった罠の仕掛けの中にいたんです……。


 というわけで今、私達は罠を起動させながら第三階層を慎重に進んでいます。

 うぅ……どうしてこんなことに……正気とは思えませんよ、この作戦……。

 ニコさん……嬉しそうですが、必要ない罠まで動かしたりしないでくださいよ?

 

 そう祈りつつ作業を見守っていると、あ……、と小さな悲鳴を上げるニコさん。

 次の瞬間、通路全体が大きく揺れ、左右の壁が中央に向かって動き始めます。

 ニコさん、やらかしましたね!? 全員急いで退避です! 押し潰されますよ!

 

 数分後、どうにか無事に罠から脱出できました。

 もう……ニコさんはもう少し慎重にやってください。死ぬかと思いました。

 って、言ってるそばからまた罠を調べてる! もう! 少しは反省しなさい!


 思わず声を上げると、それに驚き手元を狂わせるニコさん。

 あ……、と気が付いた時にはもう遅く、起動する罠……。

 そうして真上の天井が開くと、ベチャッとなにかが通路に落下してきます。


 ヌラヌラとした大型犬ほどの大きさの不気味な紫色の塊。

 グニャグニャと動くその中心には三本の触角らしきもの。

 やりました! 大当たりです! ポイズンナメークですよ!

 しかも一匹だけ! これなら慌てなければ安全に対処できます!


 まずは全員ゆっくり離れてください! 急に動かないように!

 ポイズンナメークは驚かせると、毒を飛ばしてくることがありますから……。

 そして、十分離れたらノアさんは氷雪系の魔術で攻撃をお願いします!

 今回は素材が必要ですからね……前回のように燃やすのはナシです。


 暫くすると、ノアさんの魔術を受けたポイズンナメークはカチコチの氷に。

 今度はそれをハンマーで割り、細かくなった氷を革袋に詰めていきます。

 この時、素手で触ってはいけません……この状態でも危険ですからね。

 

 ……よし、どうにか全ての氷を革袋に詰め終わりました。

 あとは氷が溶けだす前に、ニコさんに処理してもらないと……。

 大変な作業だと思いますが、よろしくお願いしますね……。

 そう言って革袋を渡すと、任せてください、と小さな胸を張るニコさん。

 ……こういう時は頼りになるんですけどね……まったく。


 さて、薬品が完成すれば明日はいよいよ決戦です! 頑張ります!


 今日の収支

 (ポイズンナメーク×1)

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚


 (_ _;)…パタリ とても疲れました……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る