334日目:大広間を突破するには?

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第一三日・天気:―


 セーヴェル遺跡ダンジョン第三階層……私達は現在ここで足止めされています。

 理由は第四階層へ続く大広間を守護するように居座る大百足のガーゴイル……。

 先へ進むにはこれをなんとかする必要があります……けど、どうしましょう?

 ダンジョン探索を開始して九日目……表層部攻略に強敵が立ちはだかります。


 さて、その強敵を倒すために昨日から再び第三階層を探索しています。

 ダンジョンのどこかに大百足を倒す手掛かりが隠されているかもしれません。

 アレです! 物語的なお約束というやつです! きっと何か方法があります!


 なんて考えていたんですが、現実は物語のように甘くないようです。

 第三階層を隅々まで調べましたが、それらしいモノは皆無……。

 え? 本気ですか? あの大百足と真っ向勝負とか自殺行為ですよ?

 うぅ……悔しいですが、このまま表層部攻略を諦めるしかないんでしょうか?


 そうしてなんの収穫もないまま、第四階層へ続く大広間の前に戻ってきました。

 ……よし。諦めるにしても、とりあえず試せることは全て試してみましょう。

 このまま何もせずに撤退なんて、冒険者としてのプライドが許しません……。

 あの大百足のガーゴイルに必ず一矢報いるんです! ……やってやります!


 とか威勢のいいことを言いつつ、やることは大広間の外からの攻撃です。

 いや、だって中に入ったら襲われるんですよ? ……安全第一です。

 さてと、まずは何から試しましょうか? 誰か良い案はありませんか?

 

 そう尋ねると、ノアさんとルイナさんが同時に同じ提案をしてきます。

 ふむ……百足の魔物は人の唾液を嫌うので、それを矢に塗り放つ、ですか。

 ……う~ん、確かに見た目は百足ですが、アレは一応ガーゴイルですよ?

 効果があるでしょうか? まぁ、物は試しですし、やってみますか……。


 結果は……天井の大百足の彫刻に当たった瞬間、矢は呆気なく弾かれました。

 ……ですよね! なんとなく予想はしていたので、そこまで驚きはありません。

 相手は石像化しているガーゴイルですからね。矢では歯が立たなくて当然です。


 そして、その後は各種属性魔術などを放ってみますが……ビクともしませんね。

 これは、まさか石像化していると攻撃が効かないなんて話じゃないでしょうね?

 そうなると、いよいよ万策尽きるんですけど……本当、どうしましょう?

 

 打つ手がなくなり悩んでいると、今度はニコさんから提案が上がります。

 魔術や神術がダメなら錬金術で……薬品を使ってみませんか? とニコさん。

 彼女曰く、錬金術の薬品にはミスリル銀でさえ腐食させるモノが存在するとか。


 でも、そんな強力な薬品をこの場で作れるんですか? 素材は?

 そう尋ねると、大丈夫です! と小さな胸を張り必要な素材を教えてくれます。

 え? それ本気で言っていますか? 下手をするとガーゴイルより面倒ですよ?

 

 はぁ……でも、仕方ありません。やるだけやってみましょう。

 こうして薬品製造に必要な素材……ポイズンナメーク探しが始まりました。


 今日の収支

 特になし

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚


 (ノ_-;)ハア アレを探すとか……悪夢です。

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