331日目:大広間の攻防戦。
神聖歴六一〇三年・
ダンジョンの罠にかかり、ノアさん達と分断されてから三日目――。
昨日から私達は第三階層の入口がある大広間で彼女達を待っています。
……けれど、一日経過してもいまだにノアさん達は姿を見せません。
一体どこでなにをやっているんでしょう? ……遅すぎますよ、ノアさん。
そうして待ち続けていると、この大広間へ続く通路から物音が……。
ノアさん達……では、ありませんね。これは……ナメークの足音です。
はぁ……仕方ありません……ルルちゃん、ルイナさん迎撃準備です!
数分後、迎撃態勢を整えると、同時にナメーク達も姿を現しました。
これは大群ですね。ざっと数えただけでも二十匹は確実にいます。
構成はキングナメークとシェルナメークが半々といった感じでしょうか。
よし、ルルちゃんはキングを! ルイナさんは私とシェルをお願いします。
そう指示を出し、ルルちゃんと二人でナメークの群れへ突撃。
私はルイナさんの矢の支援を受け、シェルナメークを手早く撃破していきます。
ルルちゃんは……うん、問題なさそうです。昔より随分手際がよくなりました。
しかし、そうやって戦っていると、通路のさらに奥から不穏な音が……。
……ガリガリガリと硬くて重いなにかを引き摺るこの音は、まさか!?
慌てて通路の先へ視線を向けると、目に飛び込んでくる血のように赤い帽子。
赤帽子・レッドキャップ!? この状況で現れるなんて……最悪の事態です。
ルルちゃん、ここを任せますね! 私は赤帽子をどうにかします!
そう言い残し、驚くルルちゃんを置いて、私は赤帽子へ駆け出しました。
ナメークとの戦闘に乱入されたら、間違いなく大惨事になりますからね。
ルルちゃん達がナメークの討伐を終えるまで、私が囮になるしかありません。
向かってくる私に気が付くと、ニヤリと楽しそうに笑う赤帽子。
そして、右手に持った両手斧を凄い勢いで振り回し始めました。
私はそれを紙一重で躱し続け、できるだけ時間を稼ぐことに努めます。
くっ……頑張れ、私。ルイナさん達が加勢に来てくれるまでの辛抱です。
けれど、突然足が滑り私はその場に倒れてしまいます。
足元へ目を向けると、ブーツがナメークの体液でヌラヌラと輝いていました。
愕然とする私――そこへ嬉々とした笑顔で斧を振り下ろす赤帽子。
これは……ダメかも? 守護の指輪も間に合わないし……私、死んだ?
しかし、そう諦めた瞬間、赤帽子がいきなり目の前から吹き飛びます……え?
驚いて目を白黒させていると、間一髪だったね! と焦った様子の声が……。
涙を堪えつつ声のほうへ視線を向けると、そこにはノアさん達の姿がありました。
うぅ……遅いですよ! もっと早く来てくださいよ! ノアさんのバカァァ!
その後、ノアさん達が合流したことで戦闘は瞬く間に終了しました。
はぁ……でも、全員無事に再会できてよかったです。一瞬、死にそうでしたけど。
さて、これでいよいよ第三階層へ進めますね! まだまだ私は諦めませんよ!
今日の収支
(ナメーク・赤帽子各種素材)
――――――――
残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚
(´▽`) ホッ 色々と一安心です……。
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