330日目:パーティリーダー。
神聖歴六一〇三年・
セーヴェル遺跡ダンジョンの第二階層でノアさん達と分断されてから二日目。
ようやく……ようやく第三階層へ続く階段がある大広間に辿り着きました。
ノアさん達の姿は……ありませんね。私達が少しだけ早かったみたいです。
意外ですが、ノアさん達なら心配いりませんよね……ゆっくり待ちましょう。
数時間後――。
ノアさん達はまだ姿を現しません……こんなに遅いなんてちょっと変ですね。
罠や遭遇した魔物にもよりますけど、もう追いついてもいい頃なのに……。
そう少し心配になりつつ、右手の中指にはめた守護の指輪に視線を向けます。
すると指輪は以前ノアさんと逸れた時と同様に、淡く明滅を続けていました。
ふむ……昨日よりも光が強いので、ノアさん達が近付いているのは確かです。
なのに、どうしても不安が拭えません……ノアさん達、大丈夫ですよね?
しかし、状況になんの変化もないまま、さらに数時間が経過します。
うん……ノアさん達がこんなに遅れるなんてやっぱりおかしいです!
もしかしたら、途中で何か重大な問題が起こったのかもしれません。
……よし。引き返しましょう! ここで待たずに皆を探しに行くんです!
けれど、その提案はルイナさんに反対されてしまいます。
この広いダンジョンでは下手に捜すと、行き違いになってしまうと……。
それは分かっています……分かっていますけど……でも、心配なんです!
思わずそう叫びますが、それでもルイナさんは首を横に振ります。
こんな時だからこそ、冷静になってギリギリまでここで待つべきだと……。
むぅ……分かりました……ルイナさん達はここで待っていてください……。
私が一人で皆を捜してきます! それなら行き違いにもならず問題ありません。
そう言うと、少しは落ち着いて状況を判断しなさい!と声を荒げるルイナさん。
そして、この状況でさらにパーティを分断するなんて正気とは思えないと……。
正気じゃなくて構いません! 私はノアさん達を絶対に捜しに行くんです!
でも、そう叫んだ瞬間、思いっきり左の頬をぶたれます。
ただ、ぶったのはルイナさんではなく……両目に涙を浮かべたルルちゃんです。
彼女の突然の介入に、私とルイナさんは呆気に取られ言葉を失い黙り込みます。
そんな私達へ、どうしてこんな状況で言い争えるんですか!? とルルちゃん。
その言葉とともに向けられる視線には、明らかな批難の色が見て取れました。
……まさかルルちゃんに叱られるほど取り乱していたんて……反省ですね。
分かりました……皆を信じてここで待ちましょう……無理を言ってごめなさい。
素直に謝ると、しっかりしてください、リーダーなんですから、とルルちゃん。
……そうですよね。こんな時だからこそ、リーダーの私が落ち着かないと。
冒険者に焦りと油断は禁物……大切なことを忘れていました。
それを思い出させてくれた、ルイナさんとルルちゃんには感謝ですね。
……本当、私には勿体ないぐらいの素晴らしい仲間達です。
今日の収支
特になし
――――――――
残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚
(ノ△・。) でも、ぶたれた頬が凄く痛いです……。
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