327日目:ベチャッと何かが降ってきた。

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第六日・天気:―


 セーヴェル遺跡ダンジョンに潜って二日目。今日は第二階層を探索しています。

 今のところ順調ですが、今回の目標は表層部攻略です……十分に用心しないと。

 因みに、表層部はこのダンジョンだと第一階層から第十階層までが該当します。

 ……残り八階層……まだまだ先は長いですけど、皆と協力して頑張ります!


 そう意気込みつつ慎重に通路を進んでいると、曲り角の先からあの音が……。

 ヌチャヌチャ、ズルズル……どうやらまたナメークと遭遇したみたいです。

 はぁ……これで本日四度目です……流石の私も嫌になってきます……。

 よし、とりあえず様子を見て、面倒な種類だったら迂回して進みましょう。


 というわけで、角に隠れつつ通路の先をルルちゃんと二人で覗き込みます。

 すると、そこには通路を埋め尽くすほどのキングナメークの大群がいました。

 うわぁ……ざっと数えただけでも二十匹以上は確実にいます。

 ……うん、これはナシですね……別のルートに変更しましょう。

 狩れなくはありませんが凄く面倒です……体力は残しておかないと……。


 そうして来た道を引き返し、別の通路を進むことに……。

 ノアさん……ホッとしていますけど、まだまだ安心はできませんよ?

 新しいルートのほうに厄介なナメークがいる可能性もあるんですから。

 ……まぁ、でも、その場合はまた別の道を探しますけどね。

 私だって好きこのんで何度もナメークと戦いたいわけではないのです!


 なんて考えつつ歩いていると後方で、あ! と小さな悲鳴を上げるニコさん。

 恐る恐る振り返ると、ニコさんが泣きそうな顔で自身の足元を指差します。

 次の瞬間、前方と後方の天井が開き、ベチャッと何かが通路に降ってきました。

 ニコさん! 罠にかかりましたね!? そして今の不吉な音は何ですか!?


 武器を構え慌てて前方を確認すると、そこには紫色の不気味な塊が……。

 ヌラヌラとしていて大型犬ほどの大きさがあります……って、動いた!?

 警戒しつつ観察していると、突然グニャグニャと動き始める紫色の塊。

 そして、中心部ににゅ~っと生える三本の触角らしきもの……あぁ!?


 お、思い出しました! この不気味な紫の体色に三本の触角!

 これは猛毒を持ったポイズンナメークです! まさか罠の仕掛けにいるなんて。

 って、今は慌ていてる場合じゃないですね。こんな時こそ冷静にならないと……。


 えっと、ポイズンナメークから全員できるだけ離れてください!

 離れたら、ノアさんは最大火力の炎系魔術で攻撃をお願いします!

 アレは下手に攻撃すると危険なので、魔術でも一気に燃やすのが一番です。

 え? 魔術が使えなかったらですか? その時は逃げるしかありません……。

 

 数分後……ノアさんのお陰で無事ポイズンナメークを討伐できました。

 素材等は手に入りませんでしたが、アレは仕方ありません……。

 さて、先を急ぎましょう……あ、ニコさんは足元に十分注意するように!


 はぁ……攻略とか本当にできますかね? 少し心配になってきました。

 

 今日の収支

 (特になし)

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚


 (ノ_-;)ハア いよいよ難しくなってきましたね。

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