326日目:罠と貝……。

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第五日・天気:晴


 さて、今日からいよいよセーヴェル遺跡ダンジョンの探索を開始しますよ!

 目指すは表層部の攻略とあの銀の鍵の詳細を突き止めること……頑張ります!


 というわけで朝食後、ダンジョン内へ――。

 ふむ……内部構造は以前探索したシュランゲ遺跡ダンジョンによく似ています。

 遺跡が変化したダンジョンなので通路は綺麗に舗装されとても歩きやすいです。

 加えて天井にはマナ結晶を利用した光源が数多く埋設され、松明などは不必要。

 はぁ……これで罠がなければ凄く探索しやすいダンジョンなんですけどね……。


 なんてぼやきつつ探索を始めて数時間――。

 ふぅ……やはり遺跡系ダンジョンは少し進むだけでもとても疲れますね。

 通路のいたるところに罠が張り巡らされ、油断したら一瞬で大惨事です……。

 

 って、ニコさん! だから怪しげな場所を見つけても触らないでください!

 さっきはそれで天井が落ちてきて、間一髪だったの忘れていませんよね!?

 うぅ……頭が痛いです。ニコさん、不思議な仕掛けが大好きですからね……。

 注意しておかないと罠を見つけたら勝手に仕組みを調べ始めるんです。

 それで罠が停止することもありますが、逆に起動する場合もあるわけで……。

 はぁ……こんなことでダンジョン攻略とかできるんでしょうか? 不安です。


 そんな心配をしながら通路を進んでいると、曲り角の先から妙な音が……。

 ……ヌチャヌチャ、ズルズルと何かが通路を這い進んでいるような感じです。

 うん……これはアレですね。あの先にいるのは恐らくナメーク系の何かです。

 こんな不快な音を立てる魔物はヤツら以外このダンジョンにはいませんからね。

 よし……ルルちゃん行きますよ、戦闘です! 皆は後方で支援をお願いします。


 そう指示を出しルルちゃんと二人で角を曲がると……いました! ヤツらです!

 数は六匹……うん? でも、キングナメークとは少し姿が違いますね……。

 見た目は似ていますが、その背には大きな巻貝が……あ、思い出しました。

 アレはシェルナメークです! ふむ、あの硬い貝に隠れられると厄介ですね。

 ルルちゃん! ヤツらが気付く前に一気に叩きますよ! 突撃です!


 しかし、初めての相手に手間取り、結局半数が貝の中に逃げ込んでしまいます。

 どうしましょう? この貝、硬くて普通の剣で斬り付けても傷一つ付きません。

 黒竜の小剣でなら斬れそうですが、なぜか鞘から抜けませんし……困りました。


 あ、そう言えば以前、ノアさんが巨大なハンマーを使っていたような?

 岩になったトロールを割れるなら、この貝も割れるかもしれませんね……。

 よし……ノアさん! お願いします! パカッと割ってください!

 

 そう頼むと少し涙目でシェルナメークにハンマーを振り下ろすノアさん……。

 これは貝、ただの貝、これは貝、ただの貝、とか呟いていますが大丈夫ですか?

 

 数分後、残りのシェルナメークも全て討伐できました。

 うん……この調子で頑張って進みましょう! 目指せ表層攻略です!


 今日の収支

 シェルナメークの貝(完品×3、屑×3)

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚


 ('-'*)フフ 意外と順調です……多分。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る