323日目:ダンジョン探索へ向けて。

 神聖歴六一〇三年・夢見虎ゆめみとらの月第二日・天気:晴


 ふぁ~……いい朝です。やっぱりいつもよりお高い宿で迎える朝は格別ですね。

 しかし、この調子で使っていると金貨があっという間に消えてしまいます……。

 うん……これはやはりダンジョンを探索してガッツリ稼がないといけませんね!


 あ、そうそう、ニコさんの錬金術師ランクのことですが……彼女、凄いですよ?

 今回の昇格でBからAランクになり、今後は上級錬金術師を名乗れるとか……。

 むぅ……羨ましい……私も早くランクを上げて上級冒険者とか呼ばれたいです!

 ……そのためにもセーヴェル遺跡ダンジョンを絶対攻略しますよ! あと財宝!


 というわけで朝食後、今日はダンジョン探索の準備に取りかかります。

 え? 反対していたはずのノアさんとサマラさんはどうしたのかって?

 ……えっと、誠意を持って説明し我慢してもらいました。本当ですよ?

 多数決で強引に決めたとか、そんなことはないのです……ないのです!


 さて置き……まずは街の市場などで必要な物を買い揃えます。

 ただ、今回は表層とはいえダンジョンの攻略が最終目標です……。

 そうなると、食糧とかは何日分ぐらい用意すれば足りるんでしょう?

 数日分では少ないですよね……十日分? ……それとも半月分?

 う~ん……とりあえず日持ちする食品を沢山購入しておきましょう……。


 そうやって色々購入していると、買った覚えのない商品がちらほら……。

 珍しい薬草や香草、料理道具に本、お酒、あとは……熊のぬいぐるみ?

 さては皆、ここぞとばかりに普段買えないものを紛れ込ませていますね……。

 まぁ、いいですけど……お金はありますし。よし……私も何か買いましょう!


 なんて考えていると、とある古書店で一冊の本が目に入りました。

 ……普段なら気にも留めず通り過ぎてしまうような小さな古書店。

 その入口に飾られた、紅い革表紙の古本。金色に輝く表題は【ルナの冒険記】。

 え? うそ……なんでこれがこんなところに売られているんですか!?

 この革表紙に表題の文字、表紙と裏表紙の角金具……これは幻の初版では!?


 凄いお宝の発見に興奮しつつ、店の人に断ってから実際に手に取り確認します。

 ……やっぱり初版本で間違いありません。まさかこんな場所で出会えるなんて。

 ほ、欲しいです! だってかなりの希少本ですよ! ここで買い逃したら……。

 値段、値段を確認しましょう! くっ……想像以上に高いです。でも……でも!


 結局、我慢できずに購入してしまいました……皆には秘密にしておかないと。

 同じ本を持っているのに、初版だから買ったとか話したら絶対に怒られます。

 あ、閃きました! 今まで頑張ってきた自分へのご褒美ということにしましょう。

 それなら万が一発覚しても、大丈夫です……流石は私、賢い!


 ふふっ、宿に帰ったら読むのが楽しみですね。

 これを読んで明日からのダンジョン探索も頑張りますよ!

 

 今日の収支

 銀貨: -70枚(宿泊費×6+ソシオ)(食事☆☆、寝床☆☆)

 金貨:-2枚(食料品など)

     -3枚(書籍代:ルナの冒険記)

 ――――――――

 残金:金貨13枚、銀貨38枚、銅貨34枚


 (*´∇`*) 初版が手に入るとか凄いです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る