322日目:払い忘れていたアレ。
神聖歴六一〇三年・
あぁ!? そんな……昨日、冒険者ギルドで税金関係を納め忘れています。
どうしましょう。以前も月末に払ってないことはあります……ありますが……。
理由もなく支払いが遅れたら、受付の眼帯お姉さんになんて言われるか……。
うぅ……朝から憂鬱です。お姉さんも教えてくれたらいいのに……最悪です。
そんな沈んだ気分で朝食を終え、重い足取りで冒険者ギルドへ。
到着後、受付に向かうと、ん? と眼帯お姉さんが怪訝そうに見つめてきます。
えっと、ですね……税金関係の支払いにきました……先月分の……。
眼帯お姉さんの眼差しに気圧されつつ、おずおずと用件を伝えます。
すると、うん? あぁ、そう言えばもう夢見虎の月か……、と眼帯お姉さん。
あれ? もしやお姉さんも昨日が月末だったって忘れていたんじゃ……。
だから、依頼の完了報告時に教えてくれなかったんです……きっとそうです。
まぁ、突っ込みませんけどね。指摘したら絶対、藪蛇になりますし……。
小言もなく処理してくれるならそれが一番です。えっと今月はいくらですか?
眼帯お姉さんから支払い用紙を受け取り、金額を確認します。
う~ん? 予想より少し高いですね……? なぜでしょう?
請求の内訳を見ると、ニコさんの支払いが銀貨五枚も増えていました。
……これは? ニコさん、怒らないから正直に言うのです。何をしました?
優しい笑顔でそう尋ねると、あ……! と何かに気がついた様子のニコさん。
そして、錬金術師ギルドの会費が上がったのかもしれません、と呟きます。
なんでも、数日前の講習会に出席したことでランクが上がったんだとか。
それならしょうがありませんね……ランクアップはいいことですし。
と、納得していると、一年分まとめて払えば安くなるぞ? と眼帯お姉さん。
そう言えば冒険者になったばかりの頃、そんな話を聞いた気がします。
あの時は、日々の生活費を稼ぐだけでも大変だったので諦めましたっけ。
でも、今なら払えるかもしれません……ふむ、確認しましたが余裕です。
……払ってしまいましょうか? ……年間で銀貨八十枚ほど節約できすし。
少し悩んでいると、コミュニティを作るともっと安いぞ? と眼帯お姉さん。
……まだ諦めてなかったんですか、そのこと!? というか、作りませんし。
面倒な依頼を回してくるのは分かっているんですから! 騙されませんよ!?
そう言って拒否すると、露骨な舌打ちが……貴女、ギルドマスターですよね!?
はぁ……もう、いいです。とりあえず今回までは普通に支払います。
あ、あとまた薬草採取の依頼をください。今日もそれにします……。
お仕事が終ったら、今夜はニコさんの昇格祝をしないと……楽しみです。
今日の収支
銀貨: -10枚(国民税)
-15枚(国民税:ノアさん)
-20枚(国民税:ニコさん)
-5枚(国民税:ルルちゃん)
-10枚(国民税:サマラさん)
-10枚(国民税:ルイナさん)
-3枚(ソシオ:継続登録費)
-70枚(宿泊費×6+ソシオ)(食事☆☆、寝床☆☆)
+5枚(依頼報酬)
――――――――
残金:金貨19枚、銀貨8枚、銅貨34枚
(*'-'*) 今月は忘れません!
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