321日目:少し家族を思いだして……。
神聖歴六一〇三年・
さて、ノアさんとサマラさんを昨夜問い詰めた結果ですが……予想通りでした。
やっぱりあの二人はナメークが嫌でダンジョン探索に反対していたみたいです。
でも、これでセーヴェル遺跡ダンジョンを探索しない理由はなくなりましたね。
サールさんに貰った鍵の件もありますし、近々探索へ行ってみようと思います。
ノアさん達は再度反対するかもしれませんが、そこは我慢してもらいましょう。
あ、そうそう、ルイナさんが意見を保留して中立だった理由ですが――。
ルイナさん、パーティに加入して日が浅いので少し遠慮していたそうです。
それで、昨夜の話し合いの時に確認したら今度は探索に賛成してくれました。
あの時のノアさんとサマラさんの絶望した表情といったら酷いものでしたね。
ふふっ、けど今からダンジョン探索が楽しみです。財宝があるといいですね。
そんなことを考えつつ、今日も冒険者ギルドへ向かいます。
着いたら普段通りクエストボードからお仕事探しです……。
う~ん、けど今回はなかなかいい依頼がありませんね。
どれもこれも少しだけ面倒で、その割には報酬が低いです。
そうして暫く悩んでいると、ルルちゃんが依頼書を持ってきました。
受け取って内容を確認すると……えっと、ハーピィの捕獲任務ですか。
あ、ハーピィというのは頭と胴体が美しい女性の姿をした鳥の魔物です。
ただ、見た目に反して食欲旺盛で食べ物に意地汚く、鳴き声が騒がしいとか。
……こんな魔物を捕まえてどうするんでしょう?
えっと、依頼主は誰ですか? ……あ、うん……お貴族様ですか。
ルルちゃん……報酬は魅力的ですけどこれは止めておきましょう。
……どうせ珍しい生き物を飼いたいとかそんな理由で安易に出した依頼です。
指名依頼なら別ですが、自ら進んで貴族の道楽に付き合うことはありません。
というか、下手に関わるとろくな目にあいませんからね……それが貴族です。
若干の偏見は入っていますが、極力関わらないほうがいいのは本当ですからね?
ルルちゃんもよく憶えておくんですよ? 貴族は百害あって一利なしです。
まぁ、かく言う私も貴族と浅からぬ縁があるわけですが、今は置いておきます。
えぇ……兎リュックの中にどこぞの家紋入りの短剣があるとか忘れてください。
うぅ……ルルちゃんのお陰で妙なことを思い出してしまいました。
……よし、さっさと依頼を選んでお仕事へ行きますよ。
今はとにかく体を動かして色々と頭の中から消し去るんです!
そして、結局いつも通り薬草採取を受注しました。
はぁ……でも家を出て、冒険者になってもうすぐ一年……。
もしも帰るなら何かちゃんとした結果を持って家族とは会いたいですね。
うん……やっぱりそのためにもセーヴェル遺跡ダンジョンの攻略は必要です。
せめて表層ぐらいは突破したいです……私の一年間の成果として……。
……まぁ、突破しても戻るかは分かりませんけどね!
今日の収支
銀貨:-7枚(宿泊費×6+ソシオ)(食事◎、寝床◎)
+3枚(依頼報酬)
――――――――
残金:金貨20枚、銀貨46枚、銅貨34枚
(ノ_-;)ハア 嫌なことを思い出しました。
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