317日目:真夜中の襲撃者。
神聖歴六一〇三年・
日付の変わった深夜。
今夜の見張り役は私とルイナさん、ルルちゃん、サマラさんの四人……。
昼間に討ち漏らした魔狼の襲撃を警戒し普段の倍の人数で見張りです。
野営は森の外でしていますが襲われる危険性はありますからね。
あとは仮眠中に間違って熟睡しないよう交代時間も短めにしました。
はぁ……このまま何事もなく夜が明けてくれるといいですね。
なんて考えていると、急にルイナさんが森の奥を睨みつけます。
そうして、ゆっくりと手元の弓へ矢を番え、静かに構えるルイナさん。
その間も視線は夜の闇に包まれた森の奥、その一点へ注がれています。
ふむ……ルルちゃん、寝ている二人を起こしてください。お客さんですよ。
そう指示を出し、私は剣を抜くと急いでルイナさんの横へ移動します。
すると一瞬だけ私へ視線を向け、一頭……いや、二頭かな、と呟くルイナさん。
逃げた数より大分少ないですね……斥候でしょうか? 残りはどこにいるのか。
そんな会話をしていると、ノアさんとニコさんもテントから出てきました。
……全員揃いましたね。それではルイナさん、やっちゃってください!
魔狼たちの襲撃を待つことはありませんからね……こんな時は先手必勝です!
私の言葉に頷くと、構えていた弓からそっと矢を放つルイナさん。
その矢が森の奥へ吸い込まれた数瞬後、夜の静寂を切り裂き響く魔狼の悲鳴!
当たった! ルイナさん流石です! しかし喜びも束の間、背後で物音が!
振り返ると魔狼が六頭も! けれど、すぐさまノアさんが反応し応戦します。
斥候と思ったのは囮だったんですね。ノアさんが気付いてくれて助かりました。
さぁ、私達も参戦しますよ、ルルちゃん! あ、サマラさんはまた待機で!
数十分後、どうにか野営内に侵入した魔狼たちを狩り終えました。
これで残りは恐らく三頭ほど……どこから襲ってくるんでしょう?
それとも昼間のように、また森の奥へ引き上げましたかね?
しかし、そう思った瞬間、テントの中から飛び出してくる三頭の魔狼。
予想外の場所からの襲撃に一瞬、反応が遅れます。
次の瞬間、左腕に奔る激痛。背中への衝撃。込み上げてくる酷い吐き気。
カハッ……どうも左腕を噛まれて、そのまま地面に引き倒されたみたいです。
体中が凄く痛いです。これはダメかもしれませんね……油断し過ぎましたか。
浮かんだ考えに思わず泣きそうになっていると、魔狼に突き刺さる数本の矢。
それが飛んできた方を見ると、ルイナさんのホッとした表情が目に入ります。
た、助かりました……残り二頭は……ノアさんとルルちゃんが応戦中ですか。
あの様子だと多分大丈夫ですね……良かったです。
倒れたまま状況を確認していると、駆け寄ってくるサマラさんが見えました。
そして、私の隣に来るとすぐに怪我の様子などを確かめてくれます。
はぁ……でも、どうにかこれで依頼完了ですね。
早く帰って今日はもう宿でゆっくりしたいです。
今日の収支
銀貨:-7枚(宿泊費×6+ソシオ)(食事◎、寝床◎)
――――――――
残金:金貨16枚、銀貨84枚、銅貨34枚
(_ _;)…パタリ ギルドへの報告は明日します……。
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