311日目:隙間の先の地下洞窟。

 神聖歴六一〇三年・木目牛このめうしの月第一八日・天気:晴


 さて、今日こそ森蛙・フォレストフロッグの生態調査に決着をつけますよ!

 そして、王都へ帰って美味しいものを沢山食べてゆっくり休むんです……。

 パンとサラダとお茶だけの食事はもう我慢できません……皆! 頑張りますよ!


 というわけで朝食後、前日に発見した岩の隙間へ。

 ……ふむ、あらためて見ると隙間というよりは小さな洞窟ですね。

 けど、これだけ小さいと奥へ行くには這って進むしかありませんか……。

 困りました……中の状況が不明なのにそんな体勢で進むのは危険すぎます。

 洞窟を抜けた瞬間、森蛙の大群に遭遇する可能性も考えられますし……。


 あ! 閃きました! ソシオに先の様子を調べてもらいましょう。

 ケルピーのソシオなら大きさは自由自在。狭い洞窟も難なく進めます。

 私達のように進んだ先で身動きが取れないなんて事態も避けられるはずです。

 頼みましたよ、ソシオ! 久々の活躍の機会です! 期待していますからね!


 そうしてソシオに縄を咥えさせ、小さな洞窟の奥へ進ませます。

 暫くすると、クイックイッと縄が強く引っ張られました。

 ……どうやら無事に広い空間へ出たみたいですね。

 咥えて行った縄の長さは二十メートルほど……進めない距離じゃありません。

 よし、私も中へ入ってみましょう! ……少しだけ不安ですが頑張ります!


 と、松明を片手に這って中に入ったものの……割と大変ですね。

 身動きが難しいのは覚悟していましたけど、ここまで狭いなんて……。

 それでも諦めずに右手で松明を掲げ、匍匐前進で奥へ、奥へと進みます。


 数分後、狭い横穴をどうにか抜け出し、ソシオが待つ空間に到着しました。

 そこは岩で覆われた巨大な地下空間でした……入り口の狭さとは大違いです。

 はぁ……でも、地面を這ったせいで泥だらに……うぅ……お風呂に入りたい。


 それから少し待っていると、ノアさん達も横穴を進みこの空間へやってきます。

 さてと、全員無事に辿り着いたところで、先へ進みましょうか……。

 ……というのも、この地下空間まだまだ奥へ洞窟が続いているんです。

 あ、今度は歩いて進めるので安心してください。先ほどの横穴よりマシですよ。

 そんなわけで松明を掲げながら慎重に洞窟の奥へと進みます……。

 

 その後、歩き続けているとどこからか水の流れる音が聞こえてきました。

 ……もしかしてこの洞窟には地下水脈が流れ込んでいるんでしょうか?

 ふむ……だとしたら森蛙がここを巣にしているのも頷けますね……。

 地表の水辺よりさらに危険の少ない地下の楽園……森蛙が増えるわけです。

 

 ただ、それでもあの増え方は少し異常なんですよね……。

 う~ん……この地下には一体なにがあるんでしょう?

 ……まぁ、でも先へ進めば自ずと原因は分かりますよね!


 迷わないようにマッピングしつつ奥を目指しましょう。

 はぁ……でも、きっと今日も王都へは帰れませんね……。


 うぅ……早く戻って数日ゆっくりしたいです……。

 お肉食べたい……ふかふかベッドで眠りたい……。

 

 今日の収支

 特になし

 ――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨29枚、銅貨34枚

 

 (ノ_-;)ハア 今日こそ帰れると思っていたのに……残念です。

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