309日目:原因を探して……。

 神聖歴六一〇三年・木目牛このめうしの月第一六日・天気:晴


 ぐぅ~……お腹が減りました。昨夜の夕食はパンだけだったのでつらいです。

 どうして皆はあれを見ても抵抗なく森蛙のお肉を食べられるんでしょう?

 はぁ……今朝の朝食には森蛙のお肉が使われていないことを祈るばかりです。


 ……うん、神様は死にました。朝ご飯も森蛙のフルコースですよ!

 サラダにスープ、串焼き……どれも森蛙のお肉が使われています。

 確かに昨日、沢山捕まえましたけど朝食にも出てくるなんて……。

 うぅ、私はまたパンとお茶だけで我慢します。森蛙のお肉は暫く無理です!


 朝食を終えたら、前日の計画通り森に点在する沼や池の調査を開始します。

 今日中に地図に記されている八ヵ所全てを回る予定なので急がないと……。

 よし、まずはここから一番近い池へ向かいますよ!


 十数分後、目的の池に到着しました。

 そして、すぐにこの池の異変に気が付きます……。

 見た目は普通の池です……でも、その水面に霧が漂っています。

 早朝の気温が低いときなら分かりますが、今は完全に陽が昇ったあと……。

 これは少し異常です……よし、ニコさん!すぐに水質を調査しますよ!


 そうして調べてみると、水面に発生した霧の原因が判明します。

 この池、水温が異常に高いんです。この時期なのに二十八度近くあります。

 ……でも、これで森蛙の活動が活発なわけが少し分かりました。

 恐らく森蛙はこの水温が高い池のお陰で今の時期も活動が可能なんです。


 けれど、この池の周辺ではあまり森蛙に遭遇しませんでしたね。

 ……もしかして、ここより水温が高い池や沼があるんでしょうか?

 はぁ……やっぱり八ヵ所全てを調査しないとですね……頑張ります。


 その後も調査を続けた結果、どの池や沼も水温が高いことが分かりました……。

 全ての池沼ちしょうで水温が二十五度以上とか、この時期だと明らかに異常です。

 ただ、どこの池や沼の周辺にも森蛙があまりいなかったことが気になります。

 以前の様子なら、巣を作っていればかなりの大群がいるはずなんですが……。

 

 ……まさか、池や沼の近く以外の場所に巣を作っているんでしょうか?

 そして、その場所の影響で森全ての池沼で水温が上昇している……?

 むぅ……だとしたら、そこを特定しないといけませんよね……。

 指名依頼の内容は調査および駆除……増え過ぎた森蛙を減らすのもお仕事です。

 はぁ……今日も帰れそうにありませんね。さて、そろそろ野宿の準備をしないと。


 というわけで、今夜も森の中で野営です。

 え? 夕食の献立ですか? ……察してください。

 夜ご飯も森蛙のお肉が沢山出てきましたよ……泣きそうです。


 唯一の救いは、サラダには蛙肉が入っていなかったことですね。

 お陰でパンとお茶のみの食事から少しだけ進歩しましたよ!

 ……はぁ、お肉が食べたいです。森蛙のお肉は嫌なのです!

 こんなことなら干し肉をもう少し多めに購入しておくべきでした……。

 あれもそれほど美味しくはありませんけど、蛙肉よりはマシです。

 

 うぅ……早く王都へ帰りたいです。

 

 今日の収支

 特になし

 ――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨29枚、銅貨34枚


 (_ _;)…パタリ お肉……食べたい。

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