305日目:火鼠を狩ろう!

 神聖歴六一〇三年・木目牛このめうしの月第一二日・天気:晴


 くしゅんっ……さ、寒いです。夜明けが近い今の時間が一番冷え込みますね。

 ……そんな時間に見張りを兼ねた火の番が回ってくるなんてついていません。

 はぁ……夕食後のクジ引きでハズレを引いた自分の運が恨めしいです。

 あの時、ルルちゃんに先を譲っていなければ今頃はまだ夢の中だったのに。

 

 あと見張りの相方がルイナさんだったのも不運でした……。

 私もルイナさんも料理が苦手なので、お腹が減っても夜食すら作れません。

 うぅ……早く朝になってほしいです。そして、何か温かいものを食べたいです。


 それから数時間後、ようやく朝ご飯を食べることができました。

 ほかほかの野菜スープがじんわりと体を温めてくれます……凄く美味しいです。

 あの寒い中、見張りを頑張った甲斐がありましたね……幸せです。

 さて、朝食を終えたら火鼠探しを再開しないと……今日は絶対に見つけますよ!


 というわけで、前日に火鼠の痕跡を発見した場所へ向かいます。

 ソシオに乗れば十数分で着くそこは、この荒野でも特に岩が多い地域です。

 そんな場所で昨日、私達は火鼠のものと思しき糞と足跡を発見しました。


 まだ新しい糞や足跡の様子から、火鼠はあそこを頻繁に訪れているはずです。

 そして、火鼠たちは自分の巣の近くで糞をする習性があります……。

 つまり、あの場所の近くに火鼠が巣を作っている可能性が高いです。

 火鼠たちは基本的に夜行性……日中に巣を襲えば安全に狩ることができます。

 ふふっ、巣を見つけさせすれば、まさに袋の鼠……簡単なお仕事です!


 そうして岩場に到着後、暫く周囲を探索すると……ありました!

 地面に埋まった大岩と大岩の間……そこに大きな洞穴が!

 あの大きさなら火鼠も問題なく中に隠れられるはずです。

 辺りに同じような洞穴はありませんし、きっとここで間違いありません。


 確認のために近付き、慎重に中の様子を覗ってみると……。

 うん……奥から微かに獣臭が漂ってきます。

 火鼠かは分かりませんが、まず間違いなく何かが中にいます。

 

 よし、では作戦を実行しましょう! ノアさん、お願いします!

 そう言うと、魔術で生成した大量の水を洞穴へ流し込むノアさん。

 火鼠の弱点は水なので巣穴を水浸しにし、弱ったところを仕留めます!

 

 数分後、文字通り濡れ鼠になった火鼠がヨロヨロと巣穴の外に出てきました!

 あそこまで弱ればあとは簡単ですね。私やルルちゃんでも大丈夫です。

 でも、剣で切りつけるとアレなので、今回はルイナさんにお願いします。

 狙いはあくまで火鼠の毛皮。必要以上に傷を付けるわけにはいきません。

 

 私が頼むとルイナさんは頷き、弓を引き絞ります。

 次の瞬間、放たれた矢が火鼠の眉間に深々と突き刺さりました。

 ……頭は貫き難いはずなんですけど流石ですね、ルイナさん。


 さて、それでは火鼠を回収して王都へ帰りましょう!

 火鼠討伐依頼、これにて無事完了です!


 今日の収支

 銀貨:-7枚(宿泊費×6+ソシオ)(食事◎、寝床◎)

    +70枚(依頼報酬)

 素材:火鼠の毛皮

 ――――――――

 残金:金貨1枚、銀貨86枚、銅貨64枚


 ヽ(*^^*)ノ これでぬくぬく、ぽかぽかです!

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